シネマチェックトップページbook作家別index題名別index     


「サクリファイス」
近藤史恵  




ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ。
勝つことを義務づけられた〈エース〉と、それをサポートする〈アシスト〉が、冷酷に分担された世界、自転車ロードレース。初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。それは、単なる事故のはずだった――。二転三転する〈真相〉、リフレインの度に重きを増すテーマ、押し寄せる感動! 青春ミステリの逸品。 (出版社 / 著者からの内容紹介より)



自転車のロードレースを舞台にした青春ミステリーです。
以前にも1度「銀輪の覇者」というロードレースのミステリーを読んだことがあります。その時も、ミステリー部分だけではなく、選手同士の駆け引きなどもとても面白くて、熱中して読みました。

本書も、選手達の駆け引きと、あるレース中に起きた事故の真相がミステリーになっていて、とても楽しめました。特に、ラスト。大きな驚きを感じ、感慨深かったですが、読後感はとても良かったです。

ロードレースのことは、相変わらず、門外漢ですが、エースと、アシストとの関係や、ライバルチーム同士でも、交互に先頭に立って、疲労を分け合ったりするところは、チームプレーであり、且つ紳士のスポーツでもあるのだなと、とても印象的でした。
題名の「サクリファイス」=犠牲は、衝撃的な題名ですが、ロードレースとは、この”犠牲”があってこそ、勝利があるものなのですね〜。

同じチームの選手で、こうして役割分担がはっきり決まっているところなどは、サッカーにも似ているかなと思いました。でも、ロードレースの方が、より犠牲感が強くて、本書の主人公のように、最初からエースとしてではなく、アシストとしての楽しみを見つけている人ならいいですが、エースになりきれず、仕方なくアシストをする人には、辛い競技のように感じましたが、どうなのでしょう。
そんなアシストたちにも、見せ場を作るのが、監督の力量なのかもしれませんね。 (2008,05,15)