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「完全恋愛」
牧薩次  


他者にその存在さえ知られない罪を完全犯罪と呼ぶ。では、他者にその存在さえ知られない恋は完全恋愛と呼ばれるべきか? (内容紹介より)



ある人物の壮大なる人生の、恋愛の、そして犯罪の叙事詩です。
その人物とは、この本の主人公、本庄究。
戦時中、家族を空襲で失い、叔父を頼って福島の温泉地に疎開していた中学生の究の淡い恋。そして、戦後起こったある殺人事件。
その頃を起点とした、人生の大きな流れを描いた物語です。

ひたすらに恋しい人のことを思い続けるのも、ある意味”完全恋愛”でしょうけれど、ここでは、「完全犯罪」と同じ意味での”完全恋愛”。誰にも知られずに、全うする恋。さて、その恋とは・・・?

一人の人間の人生を描く小説なので、長い長い話になります。
いったいこの物語は、どこにたどり着くのか??と思いつつ読んでいると、来ました、ラストに!
全ての物語が、このラストに収束し、謎が全て解き明かされます。

最後まで読み切れるか?!と、不安を感じながら読んでいたのですが、ラスト間際は、とても面白かったです。
恋愛小説と、ミステリー小説が合体したような楽しさがありました。

実は、ある箇所は、最初からそうではないかと疑っていたので、やっぱりね〜〜という感じだったのですが、もっと深い秘密が、目の前にあったのですね〜〜。
ただ、いくつかの重大なトリックは、ちょっとあり得ない!と思ったのですが、まあ、小説ですからね(^^)。

この本の著者・牧薩次は、ある大作家の別名義だそうです。この作家さんのファンの方ならば、名前を見ただけで分かるのかな。私は、残念ながら、1冊も読んだことがなかったので、この作家さんならではの事柄が出てきても分からず、そういう楽しみ方は出来ませんでした。 (2008,08,15)