シネマチェックトップページbook作家別index題名別index     


「風花」
川上弘美  

わたし、
離婚した方が
いいのかな。
結婚して7年、すれ違う気持とこころ。
愛はいかにして色あせていくのか。 (帯より)

結婚して7年。夫に恋人がいた・・・。
それを知ったとき、妻はどうするか?
泣くか、わめくか、夫を問い詰めるか、殴るか、冷めるか、自分だってと思うか・・・。

この本の主人公、のゆりは、そのことを知った時、そして、知った後も、感情を持たない。
どうすればいいのか、どうしたいのか。
悲しみを感じたのは、知ってからなんと半年経ってから・・・。

そんな、茫然とした彼女、受け止め方が分からない彼女が、ただただ痛々しく、そしていらだたしい。
夫はだんまりを決め込んだまま。
そんな彼はずるい。自分では、どうしたらいいのか分からなかったのかな。
その点、このふたりは、似たもの夫婦なのかも。

ゆるやかに時は過ぎ、のゆりは、自分の気持ちを確かめながら生活して、そのうち、夫の浮気も一段落つき、 普通なら、妻の勝利宣言!なのでしょうけれど・・・。

おとなしくて、無口な、のゆりだけれど、実は、誰よりも強い心を持った、一本芯の通った人なのかもしれないですね。

最初のうちは、のゆりの心の中がうかがい知れなくて、読みにくかったですが、だんだんと、気持ちが分かってきて、夢中になりました。

”のゆり”という名前は、読みにくくて、苦労しました・・・(^^;。 (2008,10,02)