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「人のセックスを笑うな」
山崎ナオコーラ  


19歳のオレと39歳のユリ。
恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てた。 (帯より)



第132回芥川賞候補作で、第41回文藝賞受賞作。
そして私も、先日映画を見て、とても気に入った作品の原作です。

原作は、意外にも、100ページ余りのごく短いものでした。
そして、映画とは、基本は同じでも、違うところも多かったです。
映画の方は、監督が、この原作を元に、ずいぶんイメージをふくらまして描いてあるようでした。
映画は、どちらかというと、きれいに描かれていて、原作の方が、よりリアルな感じでした。
映画を先に見たせいか、映画の方が、好き・・・かな。

一番違ったところは、ユリちゃんです。
ユリちゃんは、外見もいかにも39歳の女性で、かかとや肘ががさがさで、だらしなくて、料理もしない。
でも、そんな彼女にオレ=みるめは、恋してしまうんです。
恋をしてしまえば、そんなユリちゃんの年齢なんて、どうでもよくなってしまって、彼女の年齢相当の全てが愛おしくなってしまう。これって、やっぱり分かるな〜〜、って思います。
綺麗な顔や、若さも、最初は、恋することの条件のひとつかもしれないけれど、恋してしまえば、そんなもの、ひとつのパーツに過ぎないんですよね。

ただ、原作を読んでも、ふたりが別れる事になった理由が判然としませんでした。一方的に冷めてしまったということでしょうかねぇ。それとも、みるめの将来を思ってのこと??でも、彼女が、そんなことを考えるようにも思えないし・・・。
やっぱり、相変わらず、ユリちゃんは、謎ですね〜〜(^^)。



原作になくて、映画にあったことで、気に入っているところもたくさんあります。
みるめが初めてユリちゃんのアトリエに行ってモデルになるシーンとか、ユリちゃんが(みるめに)「触りたかった」と告白するところとか、えんちゃんの葛藤とか。これらは、映画の監督であり、脚本も手がけた井口奈己さんの感性なんでしょうね〜。とても素敵でした。 (2008,12,04)



映画「人のセックスを笑うな」の感想。