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「食堂かたつむり」
小川糸



衝撃的な失恋とともに声を失った倫子は、ふるさとに戻り、実家の離れで1日に1組だけのお客を招く食堂を始める。 (出版社商品紹介より)



財産も恋人も、そして声さえも、全てを失ってしまった倫子が数年ぶりに帰った故郷で、こだわりの食堂を開く・・・。

無惨でリアルな発端から始まったこの物語は、徐々にファンタジーっぽくなってゆきました。
”食堂”と言うイメージとは、ちょっと違った倫子の店。
1日にたった一組しか客を取らないなんて、とっても贅沢ですね〜〜。
その上、料理の素材には、とことんこだわり、そのタイミングも絶妙な「食堂かたつむり」どんな味の料理なのか、生唾ゴクリの小説でした。

そして、ラストに近づくに連れて、さらにファンタジー度は、高くなります。
お母さんとのエピソードは、少々あり得ない方向に向いてしまいましたが、それもまたいいのでしょう。

中には、映画「ブタがいた教室」のPちゃんを彷彿とさせるエピソードもあり、やはり料理人の思考回路は、こういう事なんだろうなぁと思いました。

さらりと読める、そして、お腹が空いてしまう本でした。 (2009,01,10)