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「架空の球を追う」
森絵都

やっぱり罠にはまった。そんな気がする。ふとした光景から人生の可笑しさを巧妙にとらえる森絵都マジック。たとえばドバイのホテルで、たとえばスーパーマーケットで、たとえば草野球のグラウンドで、たとえばある街角で…人生の機微をユーモラスに描きだすとっておきの11篇。 (「BOOK」データベースより)


11の短編が収められています。

とっても短い話もあって、短編が、やや苦手な私には、読みにくかったりもしましたが、読んでいて、あぁ、面白いな、こんな感じ分かるな、という感じの作品も、ありました。

好きなのは、「銀座か、あるいは新宿か」「チェリーブロッサム」「蜂の巣退治」「パパイヤと五家宝」「ドバイ@建設中」「あの角を過ぎたところに」「二人姉妹」「彼らが失ったものと失わなかったもの」。あら、ほとんどじゃない・・・(^^)。

女性らしい細やかな観察力と、嗜好性に共感できます。

「銀座か、あるいは新宿か」は、久しぶりに学生時代の友だちに会いたくなったし、そして、彼女たちのこの小さな事にとことんこだわる所なんて、我が身を見るようでした(^^)。
「パパイヤと五家宝」も、分かりすぎるほど分かる彼女の心理(^^)。おかげで、五家宝が食べたくなりました。まだ売ってるのかしら・・・??
「あの角を過ぎたところに」いい話なんだけど、ラストにどきり。なんだかやぶ蛇っぽくて、胸がズキンとしてしまいました。
「彼らが失ったものと失わなかったもの」私には、絶対無理!こういう出来事を目撃して、そして感じることが出来るって事は、すばらしいです。 (2009,03,02)