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「プラ・バロック」
結城光考


孤高の女刑事が挑むのは、
・・・死をもてあそぶ、悪魔だった。
降り続く雨。
京浜工業地帯のインダストリアルな空気が漂う中、未曾有の凶悪犯罪事件が静かに幕を開けた!
埋め立て地の冷凍コンテナから、14体の凍死体が発見された。整然と並んだ死体は、誰の、どんな意図によるものなのか?神奈川県警機動捜査隊に所属する女性刑事・クロハは、虚無感と異様な悪意の漂う事件の、深部に迫っていく・・・圧倒的な構成力と、斬新なアイディアを評価され、選考委員満場一致で新人賞を受賞した期待の新鋭、渾身の一撃!



第12回「日本ミステリー文学大賞新人賞」受賞作です。

題名の意味が全く分からなかったのですが、とりあえず、読んでみました。
でもまず、物語の中に入り込むまでが時間がかかってしまいました。
名字がみんなカタカナで書かれていることもあり、現実なのか、ヴァーチャルなのか・・・?。
しばらく読み進むと、なるほどそういうことかと、事態が分かるのですが、それでも、ひょっとするとこれは、”ヴァーチャル”オチにされるのかも・・・という危惧が、頭から離れませんでした。

センセーショナルな事件と、クロハと上司との確執、他の捜査員との連携など、途中からは面白くなって、すいすい読み進みました。
終盤の予想外の展開も、スピード感があって面白く、涙が出てしまいそうになるところもあり、また、ハリウッド映画を観ているような感覚もしました。

クロハの抱えているものが多すぎて、ラストは、ちょっと消化不良な感じかな。
カガも、なんだか中途半端なキャラクターでした・・・(^^;。彼には期待してたのに(^^)。
その代わり、ハラとの関係は良かったです。
警察の上下関係とか、仕事の分担などよく分からないので、そこら辺が分かっていたら、もっと面白く読めたのかも。

名字をやたらと凝る作品は、読みにくくて辟易してしまうのですが、本作のように、カタカナっていうのは、珍しいですね〜。読みやすくてよかったけど、深読みもしてしまいました(^^)。

作品としては、硬質な感じがして、嫌いじゃないです。
ちなみにバロックとは、”ゆがんだ真珠”という意味でした。なるほどね〜〜。 (2009,07,27)