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「シューマンの指」
奥泉 光 

高校3年の春、彼の前に現れた天才美少年ピアニスト。
その白く艶めかしい指が奏でたのは、
≪殺人の序曲≫だったーー。
甘美なる調べ。衝撃の結末。
生誕200周年・シューマンに捧げる、本格音楽ミステリー(帯より)



”帯”に書かれてあった文章を読んで、あぁ、なるほど、シューマン生誕200周年だったのね。
と、改めて納得しました。

全編シューマンに埋め尽くされています。

私は・・・と言うと、子どもの頃にピアノはしていたけれど、
その他は、”音楽音痴”と言われても、しかたがないような人でありまして・・・(^^;。
実際、「シューマン」と言われても、すぐに曲名が浮かんできません(^^;。
なるほど、「トロイメライ」と言われれば、「あぁ!」とは思うのですが・・・。

そんな私が読むには、この作品は、少々高尚すぎました。
しかし、著者の熱いシューマンへの思いは、とても伝わってきて、
あぁ、この曲、聞いてみたいなぁ。とも思いました。
でも、聞いたところで、私に、曲のすばらしさが、果たして伝わるものなのか??
いえいえ、伝わるわけがありませぬーーー。
と、いうことで、ただ単に、曲に思いを馳せながら、読む進むことに・・・(^^;。

と、油断していたら、後半に来て、突然殺人事件が起こったのです!
これには、ちょっとびっくりしました。
途中からは、単純に、”指”だけのミステリーだと、思い込んでいたので・・・。

それからは、ミステリー好きの血が騒ぐ内容になり、
あぁ、そうだったのか!!
と、驚かされました。
私も、すっかりシューマンへの情熱に惑わされた、という感じでしょうか。

シューマンの作品への蘊蓄を堪能したい方には、超おすすめです(^^)。 (2010,12,25)