シネマチェックトップページbook作家別index題名別index     



「下町ロケット」
池井戸潤

「一階に現実、二階は夢。
そんな人生を僕は生きたい」
町工場はいつでも戦っている! (帯より)



池井戸潤さんの、直木賞受賞作です。
以前読んだ「空飛ぶタイヤ」も、候補作でしたが、この作品も、読み応えのある、素敵な作品でした。

今回の話も、「空飛ぶ〜」同様、町工場と、大企業との対立が描かれています。
対立・・・といっても、中小企業である町工場の力なんて、大企業に比べたら、ないにも等しく、
メーカーが、「取引終了です」と、宣言したら、即、下請けである中小の経営自体が、危うくなってしまうわけです。
不況になって、まず切られるのは、下請け。
町工場の社長さんは、大変ですねーー。

この本の主人公である、佃社長は、そんな経営危機と共に、特許侵害という、いわれのない訴訟まで抱え込み、
銀行からの融資も受けられなくなり、風評被害によって、他の契約も打ち切りになりそうになったり、新規の取引もなくなり、「空飛ぶタイヤ」と同じように、絶体絶命の危機に陥ります。

しかし、社長には、夢があった、そして、その実力も・・・。
最後までハラハラさせられましたが、読後感は、すっきり、さわやか。

ちょっと違和感があったのは、裁判が、敏腕弁護士によって、あっさりと有利になってしまったこと。
こういうもんなのかしらね〜。
そして、町工場といっても、銀行の積み立てが数十億とか、従業員が200人とか。
あぁ、それでも、確かに、中小企業っていうことなのね。
桁が違うので、なんだか、びっくりしてしまって・・・(^^;。

そんな風に、私の認識とちょっと違ったところがありましたが、
それでも、とても面白くて、ワクワク、ドキドキ、ハラハラしながら、最後まで一気に読んでしまいました。 あ〜、面白かった! (2011,07,24)