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「開かせていただき光栄です」
皆川博子


18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男性。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には、詩人志望の少年の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が・・・解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちが時に可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む。 (裏表紙より)



18世紀のロンドンを舞台にしたミステリーです。

舞台は、私設の解剖教室。

冒頭から生々しい解剖描写から始まります。

そして、屍体が、ゴロゴロ・・・(^^)。
まあ、解剖教室なんだから、当たり前なのですが、
まだ、”解剖学”というジャンルが、世間にほとんど認められていないような時代、
解剖を勉強するために調達する屍体は、墓場泥棒から買ったりするわけで、
なかなか壮絶な状況です(^^)。

でも、とっても面白い!
ミステリーとして、読み応え十分です。
それもそのはず、2012年版の「このミステリーがすごい!」の国内第三位に選ばれた作品なのです。

登場人物は、多くて、名前も、カタカナ。
しかも、時間が前後して語られるのに、とても分かりやすいのは、さすが皆川さんです。

最後の最後まで、面白さが、ギュッと濃縮されています。
シリアスだけれど、ユーモラスな所も多く、気楽に読み進めるのも、うれしかったです。

読んだ後は、あぁ〜、楽しかった!と思われること、請け合いです。
ただ、舞台になる場所が場所なので、グロい描写も数多く、その辺りが、苦手な方は、要注意かもしれませんねぇ(^^;。

驚くべき事に、著者の皆川博子さんは、御年80歳を超えられているとか。
すごいですね〜。
すばらしいです!!

皆川さんの作品、全作踏破してみたくなりました(^^)。 (2012,03,09)