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「等伯」
安部龍太郎 


「あなたの絵には真心がある」。養父母の非業の死により故郷を追われ、戦のただなかへ。激動の戦国の世と法華の教えが、画境を高みに誘う。長谷川「等伯」の誕生を骨太に描く傑作長篇。 (「BOOK」データベースより)



第148回直木賞受賞作品で、戦国時代の絵師、長谷川等伯を描いた物語です。

私は、時代小説は、出来れば読むのを避けたい人で、ましてや戦国時代の物語など、おそらく、読むのは初めてだと思います(^_^;。

読むにあたって心配だったのは、漢字と名前(^_^;。
普段目にしない地名などの固有名詞。
特に、親の名から一文字を取って子に付ける名前・・・ややこしいーーー(^_^;。
そして、私に決定的に欠如している歴史知識(T_T)。
一瞬読むのをやめようかと思ったほどです(^▽^)。

でも、読み始めると、これが、すいすいと読めるほど面白かったです。

この時代の絵師というと、やはり、狩野一族が有名で、それは、歴史に疎い私でも、教科書で習って、知っていましたが、この本の主人公、長谷川等伯という人も、狩野家を敵に回すほどの、大物絵師だったんですね〜。

天才絵師で、さして苦労せずとも、身内からあふれ出てくる思いを絵筆に乗せて描く、彼の姿は、一見すると、枯れた絵師という印象でしたが、実は、なかなか、熱い情熱と、情念を身のうちに秘めた人物だったことが、面白いです。
また、後年は、彼のような天才であっても、自分の前に立ちはだかる絵の壁を突き破るには、寝食を忘れて、呻吟し、その先に、やっと、その神髄を見つけるという、苦しさがあることも知りました。

信長、秀吉、利休など、この時代を動かした人たちとの親交も厚く、動乱の時代の最中にいた一人の人物としても、面白く読めました。

ネットで検索すると、彼の作品を見ることが出来るので、それも併せて読むと、さらに面白みが増します。 (2013,02,12)