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「模倣の殺意」
中町 信


七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。遺書はなかったが、世を儚んでの自殺として処理された。坂井に編集雑務を頼んでいた医学書系の出版社に勤める中田秋子は、彼の部屋で偶然行きあわせた遠賀野律子の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作が、さる有名作家の短編の盗作である疑惑が持ち上がり、坂井と確執のあった編集者、柳沢邦夫を追及していく。著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。記念すべきデビュー長編の改稿決定版。 (「BOOK」データベースより)



何か面白い本はないかなと姉に聞いたら、この本の名前が返ってきたので、いそいそと、図書館で予約したら、なんと半年ぐらい待たされました。
さては、私の知らない新進気鋭の人気作家の作品なのかな、などと思いつつ読み終わり、解説を読んだら、なんと、30年以上も前の作品だということで、びっくりしました。

確かに、舞台となっている時代は昭和だし、アリバイの証明も、フィルム式のカメラだったりと、舞台設定が、古かったのですが、わざとかな??などと思って読んでいました(^_^;。

本の紹介には、「じっくり腰を据えて読みすすんでいくと、やがて、どうみても中町氏の書き誤りではないかと考えざるを得ない結論に達するのだが、ラストではそれが作者の仕掛けたワナだったことを知らされる。」とあって、それならば、私がそのワナを読破してやろうじゃないの!なんて、心意気だけは高く、読み始めたのですが・・・。

途中、あれっと思うところがあり、これが例のワナかな??\(^o^)/と思ったりしたのですが、それは単なる思い込みで、結局は、いつものように、謎解き部分に進むまで、真相は分からなかったのでした。

そして、確かに、この結末には、驚きました。
うそ〜、あり得ない〜〜!って感じでしょうか(笑)。
もう一度読み直してみて、詳しく確認もしたのですが、なるほど、うまく出来ています。
確かに、驚くような、トリックなのですが、そのために、ちょっと不自然に感じる部分もあったりして、これは、反則ぎりぎりって感じですかね。

それにしても、もう亡くなっている作家さんの、30年以上も前の作品が、このように、注目されたのには、大手書店の文教堂が、品切れ商品発掘企画をして、その一冊にこの本が選ばれたということのようです。
こうして、埋もれていた昔の作品を読むっていうのも、面白いですね〜。

解説に、この本の出来た経緯などが詳しく書かれていて、それも面白かったです。
(2014,02,23)