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レベッカ
デュ・モーリア   大久保康雄訳




モンテ・カルロで知り合った英国紳士に望まれ、マンダレイの邸に後妻に入った”わたし”を待ち受けていたものは、美貌と才知に包まれた先妻レベッカの不気味な妖気が立ちこめ、彼女によって張りめぐらされた因習と伝統に縛られた生活だった・・・。不安と恐怖におびえながらもひたすらに愛を捧げようとする、若く純粋な女性の繊細微妙な心理を追究したミステリー・ロマン。(裏表紙より)



実は私、小さい頃病弱で、しょっちゅう寝込んでいて、病気がよくなりかけると退屈で、家の本棚から本を持ち出して、寝ながら読んでいました。
その中の一冊で、お気に入りだったのがこの本です。
その時の文庫本は、古いものでしたが、折り返しに映画のシーンの写真がいくつか載っていて、それがすごく印象的で、本を読みながら、どんな映画なんだろうかと想像していました。
今では、小さい頃の望みが叶って、ヒッチコックが監督したこの映画のDVDも持っています(^_^)。
ただ、本を探したところ、同じ訳者のものは、中古しか手に入らないようです(T_T)。

久しぶりにこの作品を手に取りたくなったのは、先日見た映画「馬と呼ばれた男」に出ていた女優さんが、映画「レベッカ」のデンヴァース夫人を演じた女優さんだったからでした。
そして、映画を見た後には、本を読んでみたくなったのです。

今読んでも、ワクワクしたり、ドキドキしたり、スリリングでとても面白かったです。
ただ、小さい頃は、この本の、ダラダラと長い情景描写が苦手で、いい加減に読み飛ばしたりしていましたが、今は、このようなたっぷりとした情景描写によって、小説の雰囲気を十分に感じながら読むことが出来るようになり、多少は、成長したと言うことでしょうか(^_^)。

本では、映画では描かれなかった細かいところまで読むことが出来るので、映画とは違った楽しみ方が出来ました。
仮装舞踏会のシーンとか、ラストの終わり方など、映画とは、大分違っていて、こういうことだったのかと面白かったです。

若くて貧しく、控えめな女性が、恋をして、その相手が、大富豪だったら・・・。
彼女の戸惑いや驚きを、、我が身に置き換えて、感じられるところが、この物語に惹かれるところです。
ハキハキとした、実行力のある人が読んだら、このヒロインの行動は、もしかすると、イライラしっぱなしなのかもしれませんねぇ。

家の中で迷ってしまうほどの豪邸で、たくさんの使用人がいて、日々の食事も豪華で、お茶のお菓子の描写なんて、よだれが出そうでした(^_^)。
でも、その反面、なんと気詰まりな生活なんだろうとも思います。
来客も多く、彼らに、そして、彼らの噂話に、どれほど気を遣ってしまうことか。
こういう生活は、生まれながらにこういう環境に居てこそ、何気なくいられるのかもしれません。

そして、なによりも、彼女にとっての悲劇は、先妻であるレベッカの存在そのものなのでした。
いったいレベッカとは、どういう女性だったのか。
完璧な美しさ、完璧な身のこなし、そして、圧倒的な存在感・・・。

映画は、名匠ヒッチコックが監督、ローレンス・オリヴィエと ジョーン・フォンテインが出演し、そしてあのデンヴァース夫人は、ジュディス・アンダーソンが演じています。 「馬と呼ばれた男」では、なんとインディアンのおばあさん役でした・・・(^_^;。

興味のある方は、映画でも本でも楽しめると思うので、是非どうぞ。 (2015,07,07)