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ビッグ4
アガサ・クリスティ


突然ポアロの家に倒れ込んできた英国情報部員は、うわの空で数字の4を書くばかりーー
国際犯罪組織<ビッグ4>と名探偵の対決はこうして幕を開けた。
証人を抹殺し決して正体をあらわさない悪事の天才四人を追って、
大陸へ渡ったポアロを恐るべき凶手が待ちかまえていた。
新訳で贈る波瀾万丈の冒険と驚愕の結末!(カバーより)


ポアロが主役の作品の四作目ですが、これまた全く知らない作品でした。
そして、なんだか今までのクリスティの作品とは、ずいぶん趣が違っていました。
今回のポアロは、灰色の脳細胞を使って論理立てて犯人を追い詰めるだけでなく、世界を股にかけて活躍します。
何しろ、相手は、国際犯罪組織ビッグ4なのですから!
うれしいことにヘイスティングズも、南米からイギリスに里帰りしてポアロを助けます。
アルゼンチンの牧場は、”シンデレラ”がしっかり切り盛りしている様子でした。

そして、終盤には、驚きの結末が!!!
こんなこと、初めて知ったので、まさか!?でも、そんなことは・・・、いやいや、あり得ないでしょう!(^_^;。
などと、千々に乱れる私の心(^▽^)。
いやはやびっくりしました・・・。

ちょっと今までの作品よりも読みにくい感じがしたのは、この作品が四つの短編を一つにまとめた物だからなのかもしれません。
しかも、ポアロの活躍がそれまでの物と違うフェーズとなっていて、推理小説と言うより、冒険推理小説のようです。
また、この作品が出版されたのは、有名な”クリスティ失踪事件”の頃だそうで、彼女の心境の変化も関係しているのかもしれないです。

それにしても本作のポアロは、ヘイスティングズいじりがひどくて、なんだか性格悪い−−−と、ヘイスティングズがかわいそうになりました。
確かに、物事をまっすぐにしか見ることの無いヘイスティングズは、ポアロにとっては、”おばか”な相棒でしょうけれど。
でも、何を言われてもポアロが大好きなヘイスティングズは、これはこれで偉大な人物なのでしょう(^▽^)。(2021,08,07)