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もの言えぬ証人
アガサ・クリスティ

ポアロは巨額の財産を持つ老婦人エミリイから命の危険を訴える手紙を受け取った。
だが、それは一介の付添婦に財産を残すという問題のある遺言状を残して、
彼女が死んだ二ヶ月後のことだった。
ポアロとヘイスティングズは、死者からの依頼に応えるとともに、
事件に絡む愛すべきテリア”ボブ”の濡れ衣も晴らす。(裏表紙より)


今回のポアロは、事件の解明を依頼されたわけでもないのに、自ら進んで事件を解明してゆきます。
依頼されたと思われる依頼主は、すでに亡くなっていたわけです。
それでも、とても精力的に事件の解明に努めます。
さらに、自身のことについても、積極的に虚偽を伝えてまでして、各人の証言を得ようとしています。
こういうことは、ポアロにしては、とても珍しいのではないでしょうか。
その点について、さかんに、ヘイスティングズにからかわれているのも、面白かったです。

いつものように、登場人物のほとんどが怪しく、話が進んでいくごとに、その怪しさの濃淡が変化していくので、惑わされっぱなしでした。
今回私は、ある事実に基づいて、一人の人物を犯人として目星を付けていたのですが、また、また大はずれでした(^_^;。

真犯人は・・・一番犯人から遠い人物と思われた人間で、その理由にも驚きました。
そして、莫大な遺産の行方は・・・まあ、これは、妥当なところ、法律の手の届かない、正当な結末でしょう。

今回のポアロの報酬は・・・(^_^)。
彼にとって、事件の解明は、報酬の多さで決めるのではなく、彼の探偵心をくすぐるか否かで決めるもののようです。というか、この時、ポアロは、暇だったのかも?!(^_^)。(2022,03,02)