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死との約束
アガサ・クリスティ


「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」
男女の男女の囁きは夜のしじまに漂い、死海の方へ消えていったーー
エルサレムを訪れた最初の夜、ふとこの言葉を耳にしたポアロは、好奇心にかられながらも思った。
どうしてこうも、いたる所で犯罪にぶつかるんだろう・・・
やがて、ポアロの予感を裏づけるかのように事件は起こった。
当地を訪問中だったアメリカの富豪、ボイントン家の傍若無人の女家長が死体で発見されたのだ!
謎に包まれた死海周辺に、ポアロの透徹した眼が見たものとはー−
エキゾティックな舞台に展開する、中東ものの秀作。(裏表紙より)


アガサ・クリスティが中東を舞台として書いた作品で、ちょっとした旅行気分が味わえる本でした。
冒頭からポアロが窓越しに、「彼女を殺してしまわなくちゃいけない」という不穏な会話を聞いてしまうところから始まります。
作中でポアロも何故こんなに事件に遭遇するのだろうとうれしそうに?ぼやいていますが、本当に、その通りで、そこがポアロがポアロたるゆえんでありましょう(^_^)。
ただ今回は、彼は、冒頭こそこのように登場しますが、それ以降は、事件が起こってからこの件に絡むので、あまり暑苦しくはありません(^_^)。

そして、この作品の特徴は、殺人事件が起こった時間を中心として、登場人物の当時の細かいアリバイ時間が問題となっていることです。
この時間的な問題をじっくりと検証して、考察していけば、ポアロと同じような結論に達することに違いありません!?
もちろん私にはそんな事、出来ませんが・・・(^_^;。

結末は、ちょっと唐突感がありましたが、そこに至る経緯は、いつもながら面白かったです。

この作品は、家に古い文庫本があったので、コロナ禍になって一度読んだのですが、順番通りに読む為に、再度読み直しました。
でも、読んだばかりというのに、なんとラストをすっかり忘れていて、とても新鮮に読む事が出来たのでした。やれやれ(^_^;。 (2022,03,27)