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杉の柩
アガサ・クリスティ


婚約中のロディーとエリノアの前に現れた薔薇のごときメアリイ。
彼女の出現でロディーが心変わりをし、婚約は解消された。
激しい憎悪がエリノアの心に湧き上がり、やがて彼女の作った食事を食べたメアリイが死んだ。
犯人は私ではない!エリノアは否定するが・・・
嫉妬に揺れる女心をポアロの調査が解き明かす。
解説:山野辺若(裏表紙より)


冒頭は、錯乱状態の被告エリノアの心象風景から始まります。
いったいこれは、どうした事なのだろう??謎ばかりの始まりでした。

全ての状況、証言が被告エリノアが”黒”だと指し示している、そんな状況で、ポアロが登場します。
今回は、特に、ポアロの聞き込みが冴え渡っていました。
どんな人でも、ポアロにかかると、彼に対して心を開き、彼の聞きたい事を話してしまう。
そこが彼の最大の特徴であり、”名探偵”であることの証しなのでしょう。

ラストは、いつものポアロによる謎解き会はなく、法廷で淡々と真実が語られます。
こういう手法は、初めてだったので新鮮でしたが、やはり、ポアロの得意満面な謎解きも捨てがたい魅力があります(^_^)。

結末は、いつものごとく、驚きでしたが、今回はちょっとすっきりしませんでした。

それは、(ここからネタバレ注意!!→) メアリイの遺言状の件。身内だというだけで叔母に遺産を残す?しかも、実は、その人物に会っていない、もしくは会っても全くわからない人であるというのだから、とっても不自然。そんな犯人に都合のよすぎる展開、あり得ないと思うのですが。 (2022,04,12)