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ロング・アフタヌーン
葉真中顕



新央出版の編集者・葛城梨帆の元に突然、原稿が届く。
それは以前新人賞で落選した志村多恵からのもので、
学生時代の友人が時を経て再会するところから物語は始まっていた。
立場の違う二人の会話はすれ違い、次第に殺意が募っていく。
「いっそのこと、最後にこの女の殺してやろうか」ーー。
そんな登場人物の苦境に思いを馳せるうち、
梨帆自身の忘れられない出来事と原稿内容がリンクし始める・・・・。(表紙裏より)


女の子が保護犬を飼い始めるところから物語は始まります。
平和な書き出しにすっかり気を許していると、 何か違和感が・・・、そして、衝撃の事実!思いもよらない話だったので、気を落ち着けるために、一旦本を閉じてしまいました。

全体のストーリーは、女性編集者の話と、彼女が読む小説の話とが交互に出てきます。
同じ作者が書いた作中作が2編出てくるのですが、衝撃的な最初の作品の次は、これがメインとなる”長い午後”を描いた作品です。
これも、癖があり、胸がざわつく話で、引き込まれて読み進みました。
そして、作中作の間には、小説の読み手となる女性編集者の話も出てきます。
というわけで、ひとつの作品で3度も楽しめる、とても濃厚な作品でした。

作中作のパートは、男性が読むには、特に辛い作品かなと思いましたが、著者は男性なんですよね。これにはびっくりでした。

読む人を選ぶ作品と思いますが、一癖、二癖ある作品が好きな方には、お薦めです。 (2022,06,11)