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白鳥とコウモリ
東野圭吾



遺体で発見された善良な弁護士。
一人の男が殺害を自供し事件は解決ーーーのはずだった。
幸せな日々は、もう手放さなければならない
「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」
2017年東京、1984年愛知を繋ぐ、ある男の”告白”。その絶望ーーそして希望。
「罪と罰の問題はとても難しくて、簡単に答えを出せるものじゃない」
私たちは未知なる迷宮に引き込まれるーー。
あなたの父親(被告人)は嘘をついています。
私の父(被害者)はそんな人間じゃない。 (帯より)


久々に東野さんの本を読みましたが、いつも通り素晴らしかったです。
分厚い本(522ページ)に一瞬ひるみましたが、遅読の私としては驚異的なスピードで読み終わりました。
それだけ読みやすく、かつ面白く、謎に包まれた物語でした。

登場人物はそれほど多くありませんが、過去に起こった事件も絡んでくるので、少々ややこしいです。
それでも戸惑う事なく読み進むことができたのは、さすが東野さんの筆力です。

読み進むうちに、徐々に、ひとつひとつの事件が解き明かされてゆきます。
私の中でもその流れに沿って、疑問が晴れてゆきますが、最後の最後、こういうことだとは、思いもしませんでした。

”その人”の他人を思いやる行動は立派で、なかなか出来ないことだとは思いますが、それによって、また苦しむ人が出てくることを考えて欲しかったとも思うのでした。

”作家生活35周年記念作品”なのだそうですが、相変わらずの高レベル作品、読み応えがありました。 映像化にも期待。 (2022,07,13)