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鳩の中の猫
アガサ・クリスティ



中東の王国で起きた革命騒ぎのさなか、莫大な価値をもつ宝石が消え失せた。
一方、ロンドン郊外の名門女子校、メドウバンクにも事件の影が忍び寄る。
新任の体育教師が何者かに射殺されたのだ。
ふたつの謎めいた事件の関連は?女子学生の懇願を受けて、
ついに名探偵エルキュール・ポアロが事件解決に乗り出した。 (裏表紙より)


クリスティの作品の中では珍しいというか、ポアロ登場作品では初めての女学校を舞台とした殺人事件です。
著者を知らずに読んだら、ポアロが出てくるまでクリスティ作品とは思わなかったかもしれません。

イギリスの名門女学校で起きたのは、なんと連続殺人事件でした。

冒頭は、中東の国で起きたある革命から始まります。
そこでの事件が、遠く離れた名門女子学校に飛び火するので、この殺人事件には、あの”ブツ”が関係しているのだろうなと分かります。
しかも、その隠し場所まで作中の人物よりも早く簡単に推理できてしまったので、うれしかったのですが、犯人像はとなるとこれがからしき分からなくなるのでした。

10人ほどの重要人物が出てくるので、ちょっとややこしいかなと身構えたものの、案外すんなり頭に入ってきて、人物紹介にそれほど頼らなくてもすんだのは、人物像が掴みやすかったからでしょうか。

それにしても、今回またしても、犯人に対するヒントが少なすぎで、ポアロの名推理を頼らなければ、全く犯人にたどり着けず、ちょっと残念。
でも、ラストにいい話が書かれていたので、この後、どうなるのかなと思いを馳せることが出来ました。 (2022,12,18)