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魔術の殺人
アガサ・クリスティ


妹のキャリイ・ルイズの所へ行ってほしいの。彼女がとても心配だからーーマープルは、旧友のたっての願いを聞き入れて、変わりものの男と結婚したキャリイの住む邸を訪れた。キャリイが夫とともに慈善事業として未成年の犯罪者ばかりを集めた少年院を経営していることもあってか、その邸には一種異様な雰囲気がただよっていた。キャリイの夫が妄想癖の少年に一室に閉じ込められ命を狙われる事件が起きたのも、そんななかでだった。しかもそれと同時刻に、別室では不可解な殺人事件が発生していた!魔術的な殺人をあばくマープルの推理は?(裏表紙より)


幼なじみの親友に頼まれて、キャリイの家を訪問したミス・マーブルの活躍を描きます。
活躍といっても、聞き込みをして犯罪を暴くわけではなく、いつものように、老婦人特有の手法で、キャリイの周りの人の動静を見極めるミス・マーブル。
と言うわけで、終盤までは、警部をはじめとする警察が殺人事件の謎を解き明かそうと聞き込みを続け、それからがミス・マーブルの出番となるのでした。

日本の題名通り、今回の事件は、まるで魔術のような手法を使って、綿密な計画を立てた上での犯罪でしたが、全体を俯瞰して見ているかのようなミス・マーブルにとっては、お見通しの事なのでした。

いつもそうなのですが、本作も人間関係が複雑でした。
最初から特に複雑そうに思ったので、人物相関図を紙に書いて、それをちょこちょこ見ながら読んでいきました。おかげで、混乱することなく読めました(^▽^)。

最後の謎解きを読むと、当時の様子はいかにも不自然な状況でした。なので、ちょっと変だなと思うのですが、読んでいるときには、そう思わないのが、不思議です(^_^;。
おまけに、実は事件とは関係のない他の要素も絡んでくるので、頭が混乱してくるのです。
これはやはり、ミス・マーブルのように、編み物でもして、頭の中を整理しながら考えるといいのかもしれません(^_^)。 (2023,08,06)