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ポケットにライ麦を
アガサ・クリスティ


会社社長が何者かに毒殺された。
遺体のポケットにはなぜかライ麦が。
それは、恐るべき連続見立て殺人の端緒だった。
さらに社長宅のメイドが洗濯ばさみで鼻をつままれた絞殺死体で発見される。
彼女を知るミス・マープルは義憤に駆られ、犯人捜しに乗り出す!
マザー・グースに材を取った中期の傑作。(裏表紙より)


ミス・マーブル登場作品です。
今まで数冊、ミス・マーブルシリーズを読んできて、ちょっと性があわないなぁと思っていたのですが、この作品は、とても面白かったです。

その理由は、大富豪宅で起こる殺人事件で、遺族の人間関係がぐちゃぐちゃでみんなそれぞれ怪しい。そして事件が、童謡になぞらえて起こっている見立て殺人ということ。
これらの要素って、推理小説の王道ではないでしょうか(^▽^)。
ただ、その童謡マザー・グースには、相変わらずなじみが無いので、そこはちょっと悲しいのですが、作品の中で説明されているので、問題なしでした。

はじめは、登場人物が皆怪しく思えるのですが、読み進めていくと、だんだんと犯人も絞られ、なんとなく自分にも謎が解けるような気がするところも楽しかったです。

本作のミス・マーブルも、自分の村から飛び出して、積極的に事件に関わってゆきます。
いつものように、事件の解決するのは担当の刑事達ですが、彼らもしだいにミス・マーブルの鋭い観察力に脱帽していくところもうれしいです。 (2023,08,25)