07年2月 国内での発生を踏まえて

            園・学校での鳥飼育を諦める必要はありません。   中川美穂子
 

 今、恐れられていることは人のウイルスが発生し、感染した人により日本に運ばれ流行することです。
 人にウイルス病を感染させる一番の原因動物は、人間です。 国内の、しかもひっそりと少しづつ飼われている学校のニワトリたちがこの病気になり、まして人に感染することは心配されていません。
 子どもに、鶏が体力を落とさないように世話をしてもらいましょう。  
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人の新型インフルエンザウイルスは日本ではなく、海外で生まれる
  今、東南アジア・中国などで 鳥同志の感染が続いて、時々人にも感染しています。それで、世界がこの地域から新型インフルエンザが発生し、それが世界に拡散したときに、大流行と多くの犠牲者がでることになると恐れています。
 学者は新型インフルエンザウイルスが、国内の鳥から発生することは (必要な監視はしていますが)殆ど考えていません。つまり、日本での平成16年の流行期をコントロールしたように、早い申し出があれば完全に拡散を防げると思っています。もしも人の新型ウイルスが発生したら、もうニワトリの問題ではなく、病気の人がウイルスを運ぶことを警戒する訳で、すでに人の問題になっています。  
また、元気なニワトリ自体が突然この病気になり、人に移すのではありません。必ず東南アジアや中国など?他の国からの、人や輸入品・輸入鳥を介した感染の原因があるわけです。 野鳥も感染経路として日本では、疑われていますが、まだ証明されていないようです。まず人が運ばないように注意すべきです。
茨城を中心とした低病原性鳥インフルエンザの発生は、国が禁止しているワクチンを畜主がこっそりうったと考えられています。財産である鶏を病気で失いたくないためだったと想像されますが、国はワクチンで抗体を持ったものも、すべて処分に決めています。
それは日本全体の養鶏業を守るために行われています。人への健康被害は心配されていません。
日本のニワトリから直接人に感染するか?
  もともと病鳥からの直接的な人への感染は殆どないのですが、もしもニワトリたちに病気がうつったとしても、小学校では、ニワトリが過密に飼われてもおらず、外気が通う環境ですので、養鶏場のように狭い閉鎖鶏舎に人が入って、舞い上がる大量の糞を吸い込むこともありません。いつもどおり世話を子どもにさせましょう。
それで、小学校などのニワトリたちが、人に健康被害を与えることは殆ど心配されていません。
 東南アジアなどの人への感染例は、ワクチンなどで症状が見えなくなっている病鶏が沢山いる中で生活している人や、その病鳥を食べた人たちです。物理的にそのような鳥の腸内容(糞)を大量に吸い込んだり、口に入れてしまったと考えられています。肉やタマゴは大丈夫ですが、生きた病鳥を調理した際の腸管の処理や、まな板などの処置に問題があったのでしょう。
つまり 日本がそのような状態(病気の鳥が沢山いる中で人が生活し、あるいは、それぞれの家庭で生きた鳥を購入して、さばいて食べる習慣)にあるなら、鳥に警戒しなくてはなりませんが、それはありません。 
 つまり、日本では学校の鶏たちを危険と考えている学者はいません。考える議題にものせていません。
農水省は国の養鶏産業を心配し、厚労省は、外国からの人の新型インフルエンザウイルスの波及を心配して、行動計画に従っており、その体制が功を奏して宮崎もチェックされています。
● この冬にインフルエンザにかかるかもしれないからといって、今健康な人を隔離しますか?
H19年冬、宮崎で複数発生しましたので、安全宣言がでるまで(冬の間)、鶏を飼育舎外に出さないようにし、飼育舎に入る人も、靴を変えたり、その靴を消毒して外からウイルスを持ち込まないようにして鶏達を感染から防ぎましょう。また、普段通り巣箱と餌、水を与え、掃除をきちんとしましょう。鶏が元気なら心配ないでしょう。人で考えれば分かりますが、「そのうちインフルエンザにかかるだろうから、今から隔離しておく」のは、意味がありません。チャボを飼うについて、デメリットより、子どもへのメリットのほうが格段に多いです。
学校は地域に正しい知識を発信する場所
 愛情をもとに、しっかりした科学的な冷静な視点を養うようにしましょう。
「保護者が文句を言ってきたので、鶏たちを排除する」とか、「将来危険があるから、今までこどもたちが可愛がってきた鳥を よそにやってしまう」などの、非科学的な処置ではなく、「動物の病気について知識のある獣医師の支援を得て、愛情を大事にして、かつ科学的な処置」を子どもに見せて頂きたいと思います。
 学校は 教育の発信場所ですから、こどもたちに科学的な対応を伝えれば、その保護者が落ち着き、やがて地域全体が落ち着くでしょう。学校は地域のセンターです。
参考サイト: http://www.vets.ne.jp/~school/pets/





まとめ

07年2月 国内での発生を踏まえて

       高病原性鳥インフルエンザと日本の学校の鶏たち
      −学校のチャボや鳥たちを捨てる必要はありません− 


【問題の整理】 恐れられているのは、人に感染する新型ウイルスが発生すること。                                       

 前提 
     ウイルスは同じ種類の動物の間でのみ感染が広がる
      鳥インフルエンザウイルスもこの性格
     感染した鳥の糞が多量に口に入らなければ、人が発病することは見られてない。
     学校等では、養鶏場のように多量の感染した鳥の糞が舞い、口に入ることはない。
     
    感染の方向と危険性
     鳥→鳥:おきる可能性は大きい=現在の養鶏産業界の問題 農水省が監視・対応中
     鳥→人:日本で人が発症する可能性はほとんどない。まして、学校では考えられない。

     人→人:おきる可能性は大きい=世界的な医学の問題で、今世界中が、発生しそうな地域(想
          定は日本以外)を監視し、発生後直ぐに撲滅する計画に沿って活動中 
          
 現在
      九州、中国で数カ所、鳥―>鳥が発生し、撲滅の処置中
      監視体制が奏功し、20羽程の鳥の死亡でこの病気を検出し、直ちに拡散防止処置ができている。

結論
     以上から、学校等の教育施設では、以下の毎日の処置(*)をすると良い。

 *毎日の処置: ・糞を毎日片づける ・世話が終わったら手洗い、うがいをする。
              安全宣言がでるまでは、鶏たちを屋根のある飼育舎の中で飼う。
              発生県以外では、子どもに毎日の世話をさせる。

   病気を防ぐ基本的な注意

    1 鳥たち:水鳥の傍で鶏たちを飼わない。水鳥の泳いだ水を鶏の世話に使わない。
          しっかりとした世話のもとに飼い、動物の抵抗力を落とさない。 
        
           ・11月になったら、必ず巣箱を与えて寒さを防ぐ
           ・毎日 糞や食べ残しを清掃をして、なるべく乾燥した環境で生活させる。
           ・朝夕の2度、動物の元気さをチェックし、新鮮な餌と水を与える。
            (つまり「一人ではないよ」、と動物を安心させること)
 
    2 人:作業後や外遊びなどから屋内に入ったら、手あらい・うがいを励行する。

   (人の普通のインフルエンザウイルスでも、意外に弱い病原なので、うがいと手洗いの効 
    果は大きい。)