飼育引き継ぎ集会のこと

西東京市立保谷第二小学校では、来年度にむかって、4年生から新4年生に飼育
の引き継ぎが行われました。
 
 子ども達の企画で、動物の性格や世話のし方を説明し、ふれあい指導をしてそ
の後質問に答えていました。学校獣医師にも招待状がきました。

 質問「動物を踏んだらどうするか?」
  答え「まずけががないかチェックしてください。けがが無ければそのままで
大丈夫です。 ・・なるべく踏まないようにしてください」「緊急の場合は、す
ぐに先生に知らせて下さい」

 質問「ウサギが暴れたらどうしますか?」
 答え「夜行性ですからあばれません。でも暴れたらやさしく抱いてあげて、安
心させればおとなしくなります」「チャメは年とっていて目が見えませんから、
静かに優しく世話して下さい」

体験をもとに、心と頭から出した4年生の回答に、驚きました。 感激です

体育館の壁には、ウサギの身体、生活など項目ごとに動物について調べた新聞
や、鶏の紙芝居、絵、抱き方指導の絵などが、あふれていました。一年間世話し
てきた動物たちを、3年生に大事にしてもらいたいという気持ちと勢いが表れて
おり、チャボを持つ時の指の使い方などを、下から見た図を書いて「人差し指と
中指でチャボの足をゆるーくはさんで だいてください」と解説したのもありま
した。

 動物ごとの班での「ふれあい指導」では、動物にさわれない子のために、餌を
切るだけの班も2つ用意されてました。
 そこでは餌をチャボのために包丁でこまかく切らせていましたが、3年生はそ
れを手に乗せ 動物に恐る恐る差し出していました。
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飼育引き継ぎ集会 ―大切な命のバトンをわたそう!―

1組学級通信より 
平成17年2月25日(金)付け

【4年生の感想文より
「4年生は、自分の係の場所へ行ってください。」先生の合図で、みんな動き出
した。
私はラバの担当だった。ラバは人気があって、たくさんの3年生が並んだ。その
3年生の顔を見ると、ワクワクした顔や、少し緊張していて固くなった顔もあっ
た。だけど、ラバを抱くとみんなにこにこ顔!ラバを抱いた後に感想を聞くと、
「温かかった。」「毛がフサフサして、気持ちよかった。」などです。なかには
横で見ているだけの子もいたので、「なでてみたら?」と声をかけた。少し遠慮
気味にやさしくラバをなでた3年生を見ると、去年の私を思い出した。
 私も3年生の頃は、ウサギが少しこわかった。でも、いまではだっこだってで
きる。

 私は飼育を通して、私のいろんなところが変わったと思う。まず、飼育小屋の
においだ。最初の一ヶ月は、もう臭くてたまらなかった。しかし、今では慣れた
というか、飼育小屋の中も外もたいして変わらないように思えてきたのです。

 それに中川先生が、私たちによく言う「チャボやウサギはしゃべれないから、
よくみてあげてね。」私はそれを実行してみたのです。するとどうでしょう、本
当に気持ちが何となく分かってきたのです。三年生もぜひ実行してみてくださ
い。そして、ウサギやチャボの苦手な子たちも、私みたいに飼育を通して、慣れ
て欲しいです。また、命のバトンを大切にして、また来年も、命のバトンをしっ
かりと今の二年生にわたしてほしいです。

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(中川)
この4年生の中には、都の作文コンクールで表彰された子が数人おり、校長先生
が8日の表彰式でスピーチをしました。
 最初飼育を敬遠しておられた担任の先生がたも、3学期になって「智・情・
意・身体の使い方」などに及ぼす飼育の効果に驚いてました。飼育は、子どもの
「本気」を誘うので、総合的な効果があるのです。

 また、校長先生は、4年生の飼育のおかげか、その後の学年で、子供達は穏や
かに過ごすと言っておられます。なお、この学校は保護者に支援を求め、多くの
保護者が交代で休業日支援をしています。

 この学校の動物はかわいがられているので、とてもおとなしく抱かれます。
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放映後報告
@テレビのこと 命の教育に位置づけた飼育「飼育で子どもが変わる」

 テレビの映像には、残念ながら先生の言葉がなく私が話していました。また
もっと子どもたちの良いところがいっぱいあったのに、と ちょっと残念でした
が、2分半にしては良くまとまって分かりやすいと他の方の評判は良いようです。
 
初めてのふれあいで怖がる3年生と、指導する4年生。顔がほころぶ3年生。
また、4年生が「最初は糞が汚いのでつま先で歩いていたけど、平気になった」
と笑いながら話していたり、手で餌を差し出しながら鶏冠をなでるなど生き生き
とした表情がでていました。(撮影時、ディレクターも「本当にかわいがってい
るのですね」と驚いていました。)

@引き継ぎ集会の壁新聞などの資料
 4年が、3年生に見せるために作ったそれぞれの動物の性格、健康や身体、世
話のしかたなどの資料は映像にはなりませんでしたが、附属小の先生に見ていた
だきましたら、4年生でこんなにまとめたり、書くのはなかなかない、というお
言葉を頂きました。
 伝えたい言葉がたくさんある、と言うことなのだろうと思います

 これらの壁新聞等の資料は、8月27日に宇都宮で行われる全国学校飼育動物
研究会の第3回全国大会で展示しようと思います。

@引き継ぎ集会での学校獣医師としての私の関わり方
  引き継ぎ集会で招待された私は見ていただけ というのが本当です。しか
し、だっこ体験のとき、各班を見て回り、ちょっと手を出しました。
 それから3年生の質問に4年生が窮したとき、2問だけ助けました、
「動物が死んだらだれが責任とるのですか?」との質問に、「人でもどんなに気
をつけていても病気になるし、死ぬ事もある。普段の世話がしっかりできている
なら誰の責任という話しではなく、様子がおかしかったらすぐに先生に言って、
病院に相談してもらえば良い。」と話しました。
 また「ウサギは巣箱を食べて壊わすので、どうしたらやめさせることができる
か」との質問には、「ウサギはどうしても木をかじる動物だから、毎年寒くなる
前の11月のはじめに、巣箱を点検して補修しておいてください」と話しました、
   
 それだけで、後は先生方と一緒に、子どもたちの様子を楽しんで見ていただけです。
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全国学校獣医師連絡協議会(CAS)           上へ
  主宰 中川 美穂子
T0422-53-7099 F0422-56-9086
m-nakagawa@vet.ne.jp

「学校飼育動物を考えるページ」
http://www.vets.ne.jp/~school/pets/
「学校飼育動物研究会」 
 http://www.vets.ne.jp/~school/pets/siikukenkyukai.html
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