研究会に期待する                        全国学校 飼育動物研究会トップへ
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            生き物をかわいがる心と現代の子どもたち
                                          小田 豊
  ある幼稚園で、目の見えない猫に出会いました。大人が近づくと警戒心も無くジッとしているのですが、子 どもたちが近づくと急ぎ逃げて行き ます。しか し、十年近く園に住み着き、決して子どもたちを嫌っているわけではないとのことでした。では、なぜ子どもたちが近づくと逃げるのかと聴くと、先生方が、子 どもが近づくと逃げるようにしつけたのだというのです。それも、大変な苦労を重ね、やっと最近になって分かってくれるようになりました、と。そのしつけに 至ったいきさつは、その猫が園にやってきた当初から子どもたちの人気は抜群で、当時は目も健在で保育中はもちろん、お帰りのひととき、帰宅後も園に再び やってきて仲良く一緒に遊ぶようになってきたことから始まったようです。
  当初は、子どもたちが自分のお弁当の残りを分けるだけだったようですが、時間が経つに連れて、子どもたちの猫に対する思いが強くなってい き、一緒に なって遊ぶのはもちろん「もっと、たくさん食べてもらいたい!もっと、おいしいものを食べさせたい!」となり、中には自分のお弁当を全部差し出す子やお家 から高級な食材を持ってくる子も現れ始めた・・・・・・・・・
             全文                      (国立教育 政策研究所次長)


             子どもの健やかな成長と動物愛護社会の実現
                                           嶋野道弘
 
 全国学校飼育動物研究会が発足し、多くの方々の英知を集めた全国的な取組みができることを心から喜んでいます。この研究会は、子どもたちの 心身ともに健 康な成長を願うとともに、動物を愛護し、動物の健康な飼育を推進することを願う人々の総意です。
この研究会が発足するまでには、相当の年月にわたって、使命感と熱意ある献身的な尽力がありました。そのことに、全国各地の思いや願いを同じ にする多くの 人が賛同し、ここに研究会が発足したと承知しています。
 子どもたちが多くの時間を過ごす学校に動物がいるということは、これまで、ごく自然で当たり前のことでした。そこに一石が投じられ、各地に 小さな波紋が 生まれ、次第に大きな波紋となり、また、それらが連なって、この研究会の発足に至ったのでした。こうした経緯と、それを推進してきた人たちの志や努力を忘 れてはならないと思います。なぜなら、それがこの研究会の原点だと思うからです。また、時間はかかりますが、こうした取組みこそが社会を動かすことを実感 したからです。そして、こうした取組みを、この研究会の基本的な理念にしたいと思うからです。
全国学校飼育動物研究会に期待します。その一つは、・・・・
           全文                (文部科学省初等中等教育局 主任視学官)

                       研究会によせ て
                                                 
日置  光久

 「全国学校飼育動物研究会」の設立を、心よりお慶び申し上げます。
文部科学省では、[生きる力]の育成を目指し、「確かな学力」や「豊かな人間性」、たくましく生きるための「健康や体力」などを子どもたちが 身に付けてい くことを大切にしています。そのために、問題解決的な学習とともに体験的な学習を重視しています。
 学校では、一般にウサギやチャボをはじめとして様々な動物を飼育しております。このような学校における動物の飼育活動は、すぐれた体験的な 学習の場とし ての大きな可能性をもっていると思います。しかしながら、飼育動物は生活科等の一部の教科で扱われるものの、多くの教科等では直接の接点をもっておりませ ん。また、総合的な学習の時間の中で取り上げられることもありますが、そこでの取り上げ方や価値付けは必ずしも一貫したものではなく、体験的な学習対象と しての飼育動物のよさが十分発揮されていないことも多く見られるようです。
このような状況の中で、「全国学校飼育動物研究会」が新しく立ち上げられたということは、まさに時節を得たものと・・・・・
      全文          (文部科学省教科調査官、国立教育政策研究所教育課程調査官)


             全国学校飼育動物研究会の発足に当たって
                                        五 十嵐 幸男
 
 全国学校飼育動物研究会の発足、おめでとうございます。心からお慶び申しあげます。
近年、青少年の重大犯罪が多発し、心の荒廃が指摘される中で、幼少年期の心の健康をいかに維持していくかが教育関係者のみならず、国民的関心 事となってお ります。
 このような中で、日本獣医師会は学校における動物飼育を介した教育が子供たちの心の成長に有効であることに着目し、平成10年、当時の文部 省に対して 「学校における動物の飼育方法や健康管理について、動物の専門家である獣医師が適切に指導することにより、教員の方々が子供たちに動物を安心して飼育させ ることができるよう、獣医師の側からも支援したい。」旨を提言いたしました。
 これを受け、文部省の委託機関である日本初等理科教育研究会の答申「望ましい動物飼育のあり方」においては、学校における動物飼育について 獣医師及び獣 医師会に相談することを奨励する内容が多く盛り込まれてこの分野における獣医師の協力に理解が示され、各地域の獣医師、獣医師会では様々な取り組みが始 まっております。
 現在、地域によっては、・・
    全 文                          (社団法人日本獣医師会会長) 


           全国学校飼 育動物研究会と子供たちの未来に向けて

                                       松 林驍之介
   日本小動物獣医師会は、北海道から沖縄まで全国各地で小動物動物病院を開業する獣医師約5000人が 会員となって活動している国内最大の小 動物獣医師の 団体で、『社会の中の獣医療』をモットーに、獣医師が如何に社会に貢献していくかを実践しており、その中でも、学校飼育動物事業は本会の大きな事業の一つ であります。
 本会は、飼育動物が子供たちに及ぼす有益さから、学校教育の中で動物の飼育を通じて子供たちが『心の教育』を体験学習することは大変効果的 かつ重要なこ とだと考え、平成10年度から文部科学省の担当官や専門家の方々と共に全国各地を訪問し、獣医師、教職員、一般市民の方々を対象に「学校での動物飼育の意 義・獣医師が関与する意義・飼育の仕方」等々をテーマに講習会を開催し啓発活動を行って参りました。
文部科学省は『心の教育』の一環として学校に小動物等を飼育することを提唱しています。これは、子供たちが動物と触れ合うことにより命の尊 さ、弱者をいた わる心、世話をすることによる責任感、死の悲しみ等を体験し生命、倫理観を育む基礎を身につけて・・・・
                                    (日本小動物獣医師会会長)
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