獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-199803-47

ネギ中毒について
投稿日 1998年3月12日(木)14時03分 城戸 雅雄

ネギ中毒
<発生機序>
タマネギやニラ、ネギ、ニンニクに含まれている有名な成分としては、「硫化アリル」が知られています。硫化アリルは、ビタミンB1の吸収を助け、疲労回復や血行促進によいとされていて、allyl sulfide と英訳し、ネギの芳香性の主成分です。
また、ネギの中にヘモグロビンを酸化させる物質が含まれています。それは、allyl-propyl disulfide といい、それによってヘモグロビンが酸化され、赤血球内にグロビンの不溶性変性産物(ハインツ小体)が形成されます。このため血管内で溶血を起こしたり、あるいは脾臓を中心とする網内系でハインツ小体含有赤血球は、容易に補足されて破壊されるため貧血が起きます。
少量であれば、赤血球内の還元機構で無害化されますが、大量に摂取されると還元されずにヘモグロビンを酸化し、ハインツ小体ができます。

<動物での発症>
牛、馬などの農用家畜では、昔から牛のタマネギ中毒、馬のエゾネギ中毒が知られています。近年になって犬や猫が、タマネギまたはその煮汁を摂取するとハインツ小体性貧血を起こすことが知られてきました。
犬では、タマネギを入れて調理したスキヤキや味噌汁、炒飯の摂取が原因となり発症し、臨床の現場でもしばしば遭遇します。猫での臨床例に遭遇することは、稀です。実験的には、猫での発症も確認されています。猫の臨床例に遭遇しないのは、犬と猫の食性の違いと思われます。
実験データによると、猫では、体重1kgあたり28gのタマネギを3日間与えて、3日目に溶血が起こり、4日目に倍量与えると、血色素尿(血尿)を発現しています。犬では15g/kgを68日間毎日与え続けた実験では、最初の給与で貧血と血色素尿が出現し、その後貧血はある程度回復してくるが、再度貧血してきています。
人間の場合は、人間の医者に聞くと、人のタマネギ中毒というのは知らないということでした。ネギの中にヘモグロビンを酸化させる物質が含まれていますので、人間でもネギ中毒は理論的に考えられるはずです。猫の実験データから換算すると、成人で体重60kg、タマネギ1個180gとして計算すると、1日にタマネギ10個以上を一度に食べることを3日間続けると溶血が起こるかどうかです。普通、人では、一度に10個以上もタマネギを食べることはまずありませんので、ネギ中毒というのは発現しないのではないかと思われます。私が獣医学科の学生だった頃、先輩が「人でタマネギ中毒が起こるかどうか、自分自身で実験し、一度に大きなタマネギを6個ぐらい食べたら、次の日に血尿したので、人でも起こるはずだ」と言っていました。その血尿がタマネギが原因で起きたかどうかはわかりませんが・・・。
ためしに、うちのジャンガリアン・ハムスターにタマネギを与えたら、食べた次の日に血尿しました。草食動物や雑食の動物で、ネギ類を大量に食べる可能性がある場合は、気をつけた方がよいでしょう。50gのハムスターでもタマネギ一切れは大量になります。
赤血球内の還元機構も個体差、種差があり、同じ摂取量でも発症したり、しなかったりということがあるようです。

<参考文献>
デリーマン社の「主要症状を基礎にした犬の臨床」
山水書房「小動物臨床」第2巻第1号24−25ページ

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