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ウィスキー      


2004年 ウルグアイ・アルゼンチン・ドイツ・スペイン コメディー   

<監督>フアン・パブロ・レベージャ , パブロ・ストール
<キャスト>アンドレス・パソス , ミレージャ・パスクアル , ホルヘ・ボラーニ 

<ストーリー>
南米、ウルグアイのある町で、小さな靴下工場を経営するハコボ(アンドレス・パソス)。1年前になくなった母親の墓石の建立式に、弟(ホルヘ・ボラーニ)がブラジルからやってくることになった。そこで、ハコボは、工場の女性従業員、マルタ(ミレージャ・パスクアル)に、弟がいる間だけ、夫婦のフリをして欲しいと頼むのだった・・・。

<感想>
ウルグアイの映画です。ウルグアイってどこだっけ?と、思わず思ってしまいました。ウルグアイは、南米の国。ブラジルのお隣の国です。もちろん、出演俳優さんも、全員知りません。しかも、ものすごく個性的な顔立ちの人たち?!東京国際映画祭やカンヌ国際映画祭で、賞を受賞した映画です。

朝、工場のシャッターを開け、機械のスイッチを入れ、紅茶を入れ、仕事をし、そして、帰って行く。
毎日、毎日、同じような単調な生活の繰り返しが続く靴下工場の1日。でも、それが全く同じかというと、それなりに毎日、微妙に、違いがあるのです。
ブラインドが壊れたり、工場の機械が壊れたり。同じように見えても、決して、”同じ日”は、ないのです。
そんな日常が続くある日、ある変化がやってきます。

その変化と共に、少しだけ活き活きとするマルタ。
美容院に行き、明るい色の服を着て写真に収まり、家を綺麗にして、ちょっとだけ笑うマルタ。工場での毎日では、決して見せることのなかった色々なマルタがそこにいました。

ハコボは、どういうつもりで、マルタに、偽の妻役を頼んだのでしょう?母親が亡くなって、自由になり、幸せになったところを弟に見せたかったのか?ブラジルで自分よりも羽振りの良い生活をしていると思われる弟への見栄があったのでしょうか。
しかし、ハコボには、弟への体裁を整えるという意味でしか、マルタを見ていなかったのに、マルタは、違ったのかもしれません。夫婦の部屋の二つのベッドをさりげなく、くっつけたりしていましたから・・・。
そんな男女の心理の微妙なずれが、繊細に、描かれていました。

ラストで、再び日常の生活に戻ろうとしたハコボでしたが、それを拒絶したマルタ。男と女の違いが、よく現れていて、ハコボのために切なくなりました。

題名が「ウィスキー」なので、ウィスキーを飲んだり、それにまつわる物語なのかと思っていたのですが、全く違いました。「ウィスキー」は、写真を撮るときに、笑顔を作るための言葉だったんですね〜。
そういえば、最初の「ウィスキー」の笑顔と、ラスト近くの「ウィスキー」の笑顔にも、微妙な違いがあって、それがまた、この映画を表しているような気がします。
何しろ寡黙な映画で、しかも、ラストも淡々としているので、見終わって、自分なりに、色々考えてしまいました。見た直後よりも、こうして感想を書くうちにどんどん評価が上がってしまった映画です(^^)。(2006,07,14)



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