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休暇      


2007年 日本   

<監督>門井肇
<キャスト>小林薫 , 西島秀俊 , 大塚寧々 , 大杉漣 , 柏原収史 , 今宿麻美

<ストーリー>
独身の刑務官・平井(小林薫)は、子共のいる美香(大塚寧々)と見合いして、結婚が決まった。そんなある日、平井の勤める刑務所の死刑囚、金田(西島秀俊)に、死刑執行命令が下る。執行任務に就けば、職員には、1週間の特別休暇が与えられる。平井は、その任務に名乗り出て、休暇を新婚旅行に当てようと考えるが・・・。

<感想>
非常に淡々とした映画でした。
主人公平井の私生活も、仕事も、そして、死刑囚の金田の日常にも、感情的な動きは少なく、淡々と時間が過ぎて行きます。
しかし、その日常は、けして平坦なわけではなく、人生における節目や、重大事が、描かれているのです。
だからこそ、ちょっとした言葉や、表情に、いろいろな思いが込められているように感じました。
ただ、少々ひっそりとしすぎて、見ていて疲れました(^^;。まあ、テーマがテーマだけに、はしゃぐわけにもいかないのですけれど。

全てが規則で固められた刑務所の中の話です。
その中でも、わずかながら心の交流があったりして、人間らしさが感じられ、ちょっとホッとするところもありました。
でも、こういう事も、実際は、許されないのでしょう。人の心を利用して、悪用されてしまうことも、時々は、あるようですから。

そういう意味で、ここは、人間的な感情を一切排除した・・・排除しなければならない職場、というわけです。

こういう仕事を長年やっていると、それが身に染みてしまうということもあるのかもしれません。

だからこそ、平井の選んだ結婚相手は、彼の心を優しくとぎほぐすような感じで、子持ちの落ち着きと、ちょっとした初々しさも感じられ、とてもお似合いのように感じました。

ただ、平井のあの決断は、どうなんでしょう。
同僚も、驚いていたように、ずいぶん、思い切った選択だったと思います。
実際、刑の執行の、前後と、その瞬間は、何とも言えない重苦しさとともに、なぜだか、罪悪感を感じてしまいそうでした。
この映画のキャッチコピーも「生きることにした。人の命とひきかえに」ですからねぇ・・・(^^;。
その事を彼自身がしっかり受け止められるのか・・・?
それは、もう、彼自身の心と記憶の問題なのですが。

しかし、実際にこういうシステムなのかは知りませんが、刑務官が、それまで受け持っていた囚人の刑の執行をするという流れは、酷なような気がしますねぇ。(2009,10,18)



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