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白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々      


2005年 ドイツ 戦争   

<監督>マルク・ローテムント
<キャスト>ユリア・イェンチ , アレクサンダー・ヘルト

<ストーリー>
1943年、ドイツ。ヒトラー政権を批判する、白バラと呼ばれた地下組織があった。そのメンバーだった女学生ゾフィー・ショル(ユリア・イェンチ)は、兄ハンス(ファビアン・ヒンリヒス)とともに大学構内でビラまきをするが、その様子を警備員に目撃されて、逮捕されてしまう・・・。

<感想>
題名にある「白バラ」と呼ばれていた地下組織について、あまり説明されていなかったのですが、映画のホームページに、詳しく説明されていました。
それによると、白バラ主要メンバーはミュンヘン大学の学生、および教授で、ゾフィーたちが逮捕されるまで6回にわたって、ヒトラー政権を批判するビラをまいたり、壁にスローガンを書いたりしたそうです。戦後、紅一点だったゾフィーは、暴力や抑圧に立ち向かう市民の勇気のシンボルとして英雄視されたそうです。
この映画は、90年代になって新たに発見されたゲシュタポの尋問記録を元にして、描かれています。

これを見て、彼女の、自分の信念を貫く、毅然たる態度に、深く心打たれました。
また、情報操作されていた時代に、真実を見極める力を持っていた彼らを尊敬します。
たった21歳で、強大なるヒトラー政権を批判し、世の流れに一石を投じたゾフィー。彼女の信念は、ベテランの尋問官の心をも揺り動かしたのではないでしょうか。

それにしても、あの裁判は、酷かったです。検察官も弁護士も、形ばかりは、揃っているものの、裁判官の一方的な独壇場。そして、通常ならば、99日間の執行猶予があるはずが、彼女たちの場合、逮捕から5日間という早さで、刑の執行が行われた異常性。それは、その当時の狂気を物語ると同時に、真実を語る彼らを、政府が怖れていた事の現れだとも感じました。

唯一の救いは、結果はともかく、紳士的な取り調べが行われたらしいということでしょうか。日本では、こうはいかなかったかも・・・。

ゾフィーを演じるのは、「ベルリン、僕らの革命」のユリア・イェンチ。ゾフィーは信念の人ですが、その中にも、21歳という若さの普通の女性の顔、父母を思う娘の顔、そして、自分の将来が断ち切られてしまうかもしれないという恐怖の顔を微妙に演じ分けていて、息詰まる緊迫感を感じました。

残念だったのは、題名に、結末が分かってしまう「最期の日々」が付いていたことです。(2007,04,24)



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