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ダーウィンの悪夢          |  
  
2004年 オーストリア・ベルギー・フランス ドキュメンタリー    
  
<監督>フーベルト・ザウパー 
<ストーリー> 
アフリカにある、世界第2位の大きさの淡水湖、ビクトリア湖は、多様な生物が生息していたことから、「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていた。しかし、ある男の手によって、湖に肉食の巨大魚、ナイルパーチが放たれ、湖の生態系は破壊されてしまう・・・。
  
<感想> 
ある行為で、湖の生態系が破壊され、おそらく、以前の姿に戻すことが不可能になってしまった。それだけ自然とは脆(もろ)いもので、いったん壊れたら、取り返しが付かないものだということでしょう。 
それでも人間は、それに気づかず、または知っていても、目先の利益に走ります。 
巨大魚であるナイルパーチは、ヨーロッパや日本で大量に消費されているそうです。魚のフライなどになるのでしょうか。もしかしたら、私も食べたことがあるかも。 
湖岸の漁師たちは、金になるナイルパーチを捕獲して、工場に運び、そこで魚は加工されて、飛行機で運ばれてゆきます。 
その飛行機は、空(から)で飛来するわけもなく、何を乗せてくるかというと、それは、アフリカ各地で起こっている内戦に使われる武器が載っているというわけです。
  
最初にナイルパーチを放流した男は、こんなことになると、分かっていたのでしょうか。分かっていたとしたら、その人はきっと悪魔だったのではないでしょうか。 
湖を自分たちの食料庫に仕立て、そして、武器を売って利益をむさぼる。 
湖岸に住む人たちの生活は困窮し、内戦は激化する。 
そういう構図です。
  
映画は、強いコントラストの映像で終始し、意味ありげな映像やナレーションが続きます。 
ドキュメンタリーの作り方としては、あまりにも扇情的で、あまり好感は持てませんでした。そして、いろいろなことが描かれすぎて、本質が見えなくなりそうでした。私はもっと淡々としたドキュメンタリーの方が好きですが、この映画の言おうとしていることは、よく分かり、人間の欲望の恐ろしさに吐き気を感じたのでした。(2008,01,13)
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