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ミラーを拭く男 --緒方拳さんを偲んで--      


2003年 日本   

<監督>梶田征則
<キャスト>緒形拳 , 栗原小巻 , 岸部一徳 , 津川雅彦 , 山本圭

<ストーリー>
定年間近の皆川勤(緒形拳)は、ある日、交通事故を起こしてしまう。相手の少女は、無傷だったが、この事故にショックを受けた勤は、事故現場を訪れて、カーブミラーを拭き始める。その後、彼は、家族に内緒で仕事を辞め、近所のカーブミラーも拭きはじめ、やがて全国のミラーを拭くことを決心して、ひとり北海道に旅立って行く・・・。

<感想>
サンダンス・NHK国際映像作家賞2002受賞作品の映画化です。ずっと録画したままお蔵入りしていたのですが、緒方拳さんを偲んで、ひとり静かに見ました。

交通事故をきっかけとして、ただひとり、カーブミラーを磨く旅に出た男の物語です。
被害者家族ともめたり、ミラー磨き隊が出来たり、いろいろな波乱はあるものの、全体としてはとても淡々とした映画です。
というのも、この映画で緒方拳さんは、ほとんどセリフをしゃべりません。たまにしゃべると、ああ、この人、ちゃんとしゃべれるんだ・・・と思ってびっくりするほど、寡黙です。

彼なりの考えがちゃんとあるのでしょうけれど、やはり話してくれないと、分からないこともあります。彼の家族、特に妻は、事故後の処理や、生活面で、大変そうで、同情してしまいました。

でも、まじめ一筋に生きてきた主人公が突然事故を起こしてしまい、ショックを受ける様子は、痛々しくて、よく分かる気もします。なんだか私の父によく似てるんですよねーーー。
外界との関わりを絶ち、自分の心の中に引きこもって、自分のしたいこと、自分が正しいと思うことだけに邁進する彼。

また、そんな彼を、人々がほおって置かないという滑稽さも感じられて、それはそれなりに面白かったです。

ただただミラーを拭く男を描いた映画なのですが、その男を緒方拳さんが演じているということで、飽きさせない魅力を感じる映画でした。

緒方拳さんのご冥福をお祈りいたします。

ところでこの作品、驚いたことに、DVDになっていないようです。受賞作の映画化で、キャストも、このほかに、ISSA、国仲涼子等々豪華なのに、こういう事ってあるんですね〜〜。(2008,10,10)



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