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「夜は短し歩けよ乙女」
  森見登美彦



鬼才モリミが放つ、キュートでポップな片想いストーリー! 「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受けるのは奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった! (出版社/著者からの内容紹介より)










    時代不詳の独自の世界が広がるこの物語。そのせいで、最初は、取っつきにくかったのですが、魅力的な登場人物のおかげで徐々に引き込まれてゆきました。

主人公は、「先輩」と呼ばれる大学生と、その大学生が恋いこがれる「黒髪の乙女」。
二人のそれぞれ一人称で書かれた話が、ほぼ交互に登場します。
「先輩」は、ひたすら「黒髪の乙女」に恋し、彼女との交際を全うすべく、その外堀を一生懸命埋めようとします。そのいじらしい努力には、思わず涙してしまいそうでした。大学生ぐらいの年代の男の子なんて、シャイで、傷つきやすくて、妄想癖があって、純真で、その上、猥雑なんでしょうねぇ(^^)。
一方、「黒髪の乙女」は、好奇心旺盛で、優しくて、かわいくて、そのくせ、残酷であったりするんですよね(^^)。

4つの話が展開するのですが、ある意味、二人のすれ違いロマンス小説集になっています。
その二人を取り巻く人々は、これまた一風変わった強烈なキャラクターばかり。最初のうちは、いったい彼らって??と思うのですが、これが、また、愛すべき人々で、はまってしまうんですね〜〜(^^)。
ラストには、思わず、「先輩」よかったね〜〜という気持ちになりました(^^)。

ところで、この本によく出てくるのが「電気ブラン」という飲み物。私も、どこかのバーか、居酒屋かで、見たことがあり、いったいあれは??と思ったことがあったのですが、電気みたいにしびれたらイヤだなぁと、頼まなかったのですが、今となっては、惜しいことをしたと残念です。 (2007.08.07)


映画化作品「夜は短し歩けよ乙女」(2017)