獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200110-63

リスクではなく、リスクマネージメントの問題
投稿日 2001年10月6日(土)17時49分 プロキオン

今、ここで狂牛病に感染するリスクを云々言っても意味がないことです。問題
の本質が違うからです。

農林水産省は同居牛の感染率に3%という数字を用いていますが、これとても
イギリスの話であり、数値としては1例にすぎません。
なんとなれば、汚染がひどければ、そしてなおかつそれを放置しておけば、限
りなく100%に近付くわけです。
危険の確率は変動性なのです、対応次第で大きくも小さくもなるのです。
そして、今 日本の国民が求めているのは0に近付ける努力なのですから。

仮に1%として100万人、0、1%として10万人。これだけの人間が治療
法もなく死んで行くのであれば、行政が手をこまねいて見ているだけというの
は許されることではありません。何百億だろうと何兆円であろうと対策は講じ
てもらわないとなりません。
何百億円も投じることの意味を改めて問う必要はないことです。

例え、感染者がただの1人であろと、そもそも、日本の行政の怠慢が招いたこ
とであり、自分の脳が壊れて人格を失って死んで行くという事態は、受け入れ
がたいことです。
交通事故や風呂場での転倒と比較されるべきリスクではないのです。

元医科研の山内先生の話では、脳組織の乾燥重量で0.1g があれば、感染成立
に充分なのだそうです。
狂牛病の本体であるスクレーピーでは、1つの家系が全て感染死亡にいたりま
す。拡大防止策は、汚染されている可能性のある羊を全て隔離、処分すること
なのです。生前検査や治療法はないのです。このことの持つ意味は決して小さ
いものではありません。


厚生労働省では、牛エキス、ビーフエキスの製造原料の安全性が証明できない
ものは、すべて回収を指示しました。かつてない事例のはずです。
これに伴う企業の損失には、測り知れないものがあります。それでも国民をこ
の疾病から守るために必要と判断したということなのです。
また、この措置に法的根拠を与えることも検討しているようです。

厚生労働省も農林水産省も感染発病の確率で動いているわけではありません、
1人の患者も発生させたくなくて活動しているはずなのです。

いたずらに、恐れる必要はないのではないかという主旨は理解できますが、リ
スクで論じる問題ではないのです。
巨額の費用を投じても頑張ってもらわなくてはならない問題だと私は思います。
少なくとも、行政にはその責任があります。

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