獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200305-89

レス:3題
投稿日 2003年5月13日(火)16時37分 プロキオン

5月13日の Chikaさんへ
セキセイインコのBFDは、ポリオーマウイルスによって引き起こされる羽毛
の発育不全です。かつて「コロ」とか「フレンチモルト」とか呼称されていた
ものも これに起因するものもあったかもしれません。
しかし、この疾病はある時期の幼鳥を越えてしまえば、落鳥率は差程高くない
ように思います。

BFDを「免疫不全」と表現されていましたが、これは適切でないと思います。
免疫不全も関わっているのかも知れませんが、そう表現してしまうと別の疾病
になってしまいます。
鳥類にはリンパ節が存在せず、ファブリキウス嚢がこれに代わってその役目を
果しています。こちらの器官がやられてしまう疾病にIBDというのがありま
す。こちらの疾病は大学でも教えていると思いますので、獣医師に鳥の免疫不
全といったら、IBDの話と受け取られると思います。


5月13日の あどこさんへ
パルボウイルスのワクチンについては、開業獣医師の間には、自分が接種した
ワクチン歴以外は信用するなという格言があります。
それほどに、接種の時期が重要視されます。ワクチンブレイクが発生しやすい
のです。パルボウイルスの抗体価は、およそ9日くらいの半減期とされていま
すが、これがどうしてなかなか、ワクチンの邪魔をしてくれます。
ひとつには、このウイルスが広範囲の蔓延をしており、常に免疫が刺激を受け
ているために抗体価がさがってこないとも言われています。
したがって、ワクチンメーカーの実験では、いついつの時期に接種して有効で
あったと結果が出ていても、私達の野外においては多くのワクチンブレイクが
あって、ワクチン接種犬でも、罹患してしまうことはあります。
いつ、何回接種したからといって大丈夫というものではありません。強いて述
べさせていただければ、ワクチンを接種している獣医師が、この疾病とワクチ
ンをどのように考えているかを見てみてはということになります。

また、混合ワクチンで接種するか、単味のワクチンで接種するかで言えば、理
想は単味です。まあ、メーカーさんはこの意見を否定すると思いますが、混合
ワクチンにはジステンパーも入っていますよね。ジステンパーもパルボも免疫
を抑制する疾患です。両方のウイルスが同時に体内に入った際には、マクロフ
ァージやリンパ球がどちらのウイルスの侵入情報を近接のリンパ節へ伝えるの
か迷うというか競合がおきると推測されるのです。その為に常に最良の免疫が
獲得されるとは限らないという理屈が成立するのです。
まあ、こちらは私の説ではなく、そういう研究をされている先生がいらっしゃ
るということなのです。
しかし、そうは言っても免疫が0というのでもないし、パルボが抑制されて常
にジステンパー優位に働くというものでもありません。同じくらいの確率でジ
ステンパーの抑制もありえるわけです。
こればかりは、接種してみないと分からないわけで、単味のワクチンといって
も不活化ワクチンが生ワクチンに勝るかというと、これも別問題です。

つまり、流通しているワクチンの中で、どの製品がもっとも有効かというよう
な質問であって、どの製品でなければ免疫は得られないということでもないの
です。
お住まいの地域のパルボ流行情況も重要です。
文字道理、何時、どこで、誰が、どのように接種したかが大切なのです。
それゆえ、接種する獣医師の考え方・認識を見てみてはということになります。
キチンと説明してくれる獣医師を主治医とされるようにお勧めします。

半年は飼育を控えなさいというのは、ひとつの尺度と考えて下さい。それ程、
必要無い場合もあれば、それでも足りない場合もあるでしょう。半年が全ての
場合の回答ではありません。
消毒薬も同様です。次亜塩素酸ソーダーが勧められていることが多いと思いま
すが、これでなければいけない理由はありません。入手しやすいからでしょう。
消毒薬が異なれば、その期間や頻度も当然変わります。


5月13日の ぺこあさんへ
膀胱内へカメラを入れて撮影したという状態が分かりません。内視鏡を尿道を
通して膀胱まで入れたということなのですか? 開腹して膀胱まで入れたとい
うことなのでしょうか?
どちらにしても、私には「?」です。 少なくとも麻酔くらいは必要な処置の
ように思えますが。

犬の膀胱炎は、よくあるかと尋ねられれば、まあ、比較的遭遇する疾病と言え
るように思います。慢性化しやすいのも事実です。
問題は血尿発見時の対応についてお聞きしたいということですよね。
当初の依頼内容が、トリミングやグルーミングである以上は、血尿発見の事実
報告が第一義であるというのが私の考えです。

何も今回に限ってというのではなく、犬を預ける時に どのような申し合せに
なっていたかが判断の材料となるように考えます。
異常の発見時に、対応や処置はおまかせしますになっていたのであれば、この
ようなこともありえます。
なんらの取り決めもなければ、緊急の処置が必要な情況でもなさそうですので、
報告が優先するでしょう。
最初にそのお店の門をくぐったときに、文書やパンフレット等に何か記載され
ていませんでしたか? あるいは口頭で説明はありませんでしたか?
または、ぺこあさんの方で質問されていますか?

言ったはず、聞いていないでは水掛け論になりかねないお話ですが、その対応
次第では誠意のあるなしくらいは分かるでしょう。



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