獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200611-118

re: 輸血
投稿日 2006年11月18日(土)15時09分 投稿者 プロキオン

まず、最初に犬の血液型が人間の血液型よりも、多種類に亘るということを私達は承知していないとなりません。そして、輸血可能な組み合わせがありますので、それら全ての血液型の犬をそろえておくということは個人的には無理なことでして、企業レベルでの話になります。
では、本当に輸血が必要な緊急時に個人の動物病院がどうしているかというときに、お話のように供血犬を飼育しておくということになります。この供血犬を何頭も飼育しておくことができないのは先に話したとおりですので、人間で言えば「O型」に相当する犬の血液に対して抗体をつくられないタイプの血液型(どの血液型の犬にも輸血可能な血液型)の犬が必要となります。
この便利で都合のよい犬は、数多く存在しているわけではありません。犬の血液型が10も20も存在していれば、それだけ比率も少なくなるわけです。少ないのですから、それだけ見つけるのも大変となりますから、必然的に大切にされます。
その犬を駄目にしてしまえば、次の犬がすぐに見つかるわけでもありませんし、緊急輸血が必要な際に採血できないほど不健康な状態にしてしまっても、輸血自体が実施できないことになります。そのような事情がありますから、本当の供血犬は、不意の採血のために普通の犬よりも栄養状態やコンディションに気をつけて飼育されていることになります。

このことは、山椒さんの投稿に対して、とってつけた言い訳ではありません。こちらの掲示板の過去ログ検索機能を使っていただくと、同じことが何回か説明されていることが理解できるはずです。
また、同時に血液を分けてくれる犬を捜している病気の犬の飼い主さん達の投稿にも気がつかれると思います。輸血というのは、双方の犬の問題がありますので、何でもかんでも輸血してしまうということはなく、血液を作ることができなくなって、そのままでは生命に直結する患者に対して実施されるものです。
人間の医療の方では安易に輸血しすぎるという批判もありますが、獣医療の場合ではまずほとんどの手術では輸血は行われていません。山椒さんは、投稿を読むと手術の都度輸血をしているかのように受け取られているようですが、話の前提として、そういう実態がないのが獣医療なのです。手術は普通であれば、輸血は実施されていません。

輸血というのは、手術用途ではなく、血液疾患で本当に血液を必要としている犬のためのものなのです。当然、それだけ頻度も低くなりますし、いくら必要だからと言って、供血犬を駄目にしてしまう程には採血できるものでもありません。それゆえ、過去ログにも登場するように何頭かの供血してくださる犬を捜していますという話も出てくることになります。

したがいまして、

「獣医さんの間では、このように飼い主のいなくなった犬を輸血採取用として使って利益を得るということは普通のことなのでしょうか?」

という、この部分は一般的には考えると、山椒さんの誤解ではないでしょうか。

本当に犬の健康を害するほどの採血が行われているのであれば、それは獣医療の本質から外れていますし、必要もない輸血が行われているということになります。
輸血用の犬というのも、血液型を考慮していなくても、最初の1回まではさほどの支障はありませんが、繰り返しての輸血は障害がおきて実施することはできません。
1回限りの輸血が何回も(何頭も犬にと換言できますが)実施されているというのは、どうにも不自然です。
当該犬の健康状態が良くないというのには、何か別に理由があるのではないでしょうか。
おそらく、「輸血用」というのは、ただの方便であって、たんに犬を引き取ったというだけのことではないのでしょうか?
だからこそ、最初の犬も他の方に引き渡したということになるのではないかな…。

実際問題として、血液型を考慮すれば、飼い主のいなくなった犬がたまたま便利な血液型であったとしたら、それはかなりの幸運といえます。輸血をする獣医師であれば、その犬は「貴重品」ということになります。長生きしてもらわないとなりませんね。長生きしてもらうためには、それだけの管理が必要です。




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