獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200204-116

re拾い食い
投稿日 2002年4月27日(土)06時06分 はたの

獣医師ではありませんがご参考まで。

 最初に、拾い食いの矯正はかなり難しいものだとご承知ください。
 オオカミ=イヌはもともと、なんでも食べます。腐った動物の死体、ゴミは、イヌの本来の餌の一部です。というか、かなり主要な餌です。本能的に好みます。
 他の動物の糞も、餌というより、狩りの獲物の情報源として普通に口にするものです。匂いを嗅ぐのと舌で味わうのとは本質的に同じ事ですので、獲物の足跡をおっていて糞があったらなめてみたり食べてみたりします。

 困難を踏まえて対策。

 餌の量は足りていますか?
 小さいままにしようとして意図的に制限はなさっておられませんか?
 基準量に合わせのに一生懸命で、ご愛犬にとって自覚的には足りない、ってことはありませんか?
 肥満がないのなら餌を増やしてみてください。
 肥満のおそれがあるのなら、低カロリーのものにかえて量を増やしてみてください。
 何か特定の栄養素の不足が引き金になることもありますから、フードの種類や構成も変えてみてください。

 次に行動面。

 家の中で、床に餌をまいて食べさせてみましょう。ドライフードが適します。
 で、このドライフードを使って、

「ヨシ」と言われてから食べる
「ダセ」と言われたら口の中のものを出す

 ことを訓練します。最初はリードで抑制したり、口の中からフードをこじりだす必要もあるでしょう。
 このためのドライにしておきます。フードをこじりだしたら、もっとおいしい別の餌と交換してやります。「ダセ」と命じたら、絶対に、一度も、飲み込ませてはいけません。何がなんでも出させます。でないと、抵抗すれば取られない、抵抗しつつ、取られるまえに飲み込んでしまおう、となります。
 散歩中と異なり、人間のほうが先に、あるいはすくなくとも同時に、「そこに餌がある」と知ることができます。と、イヌの行動をうまくコントロールできます。先手がとれます。
 そして、「ダセ」と言われて出したら「もっといいことがある」と教えるわけです。散歩中に重要なのはこちらだけですが、いきなり教えるのには高度すぎるので、「ヨシ」といわれまで食べないこと、を最初のステップとします。この時、「マテ」「オアズケ」は使ってはいけません。もし使うと、「こう言われた時だけ待つ」ことになります。散歩中ずっと「マテ」させておくわけにはいきませんから。
 要するに、何も言われなかったら食べてはいけない、「ヨシ」と言われて初めて食べる、ようにします。
 同様に、もしもすでに「マテ」の解除として「ヨシ」を使っているのでしたら、別の言葉にしてください。混乱させないように。
 「ダセ」も別の言葉でも構いません。うちでは人間が素速く発音しやすいので「べっ」という命令になりました。

 次に、イヌがフードに鼻をくっつけて「ヨシ」を待っている時に、「コイ」と読んで、ドライフードより好きな餌を少量やり、人間の体でかくすようにして背中側でドライフードは取り上げてしまいます。

 同時に「ヨシ」といってくわえたところで「ダセ」で、もっといいものと交換、もしっかり入れてゆきます。

 同じことを屋外で。どこにドライフードを置いたかしっかり覚えておいてください。代わりに与える好物も持って。
 
 ここまで出来れば、ゴミを見つけてもすぐには口にせず、一瞬のためらいが生じるはずです。そこですかさず呼んで好物。
 もしくわえてしまったら「ダセ」、で呼んで好物。
 屋外では、口からこじりだすのはやめたほうが無難です。ネコの糞などですと触るのに心理的抵抗があって対処が遅れがちですから。と、出すかわりに素速く飲み込むことを教えてしまうことになりかねません。何度も「ダセ」と繰り返さずに、叱ったりもせずに、まるでそんな命令しなかったみたいに無視してください。確実にこじりだせる自信が持てる場合にはこじり出せばなお効果的ですが。

 これが安定したら、まず室内で、ドライフードを諦めても好物を毎回はやらないようにします。好物を貰えるのは3回に一回にし、5回に1回にし、10回に一回にとだんだん減らしていきます。それもきっかり何回目と決めるのではなく、ランダムにしてください。予想がつかないのがよいのです。
 好物をやらない回は誉めます。
 そして、この誉めるのも、次第に毎回でなくランダムにしていきます。

 屋外でも同じようにしていきます。ただし、当面は、何回かに一回は好物を。

 このコースにうまくのってくれればこの辺でおおむねOKと思いますが、完璧を期すならば、ドライフードではなく、人間の食べ物の切れ端とか、実際に音テイルようなものを撒いて(ヒトが先に位置がわかることがここでも大切なのでわざと撒きます)、同じ課程を。

 ただ、繰り返しになりますが、ここまでやっても、ヒトの集中力が欠けた瞬間に何かを口にしないという保証はありませんが・・・。

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