獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200505-122

Re:ワクチンプログラムについて
投稿日 2005年5月30日(月)13時49分 投稿者 パールちゃん

タマゴマンさんへ。

仔犬にとって重要な社会化期とワクチン接種時期が重なる問題についてどちらを優先させるべきかについてですが、これは「優先」の問題ではなく「程度」の問題だと思います。抱っこして散歩して外の世界を見させるだけでもいいし、接触して遊ばせるならよく健康管理されているとわかっている犬とだけというふうに、「程度」「加減」「限定」を飼い主が考えればいいのではないでしょうか。
ただし、つい忘れがちですが、仔犬がよその犬から病気をうつされるというより、仔犬がよその犬に病気をうつしてしまうことに留意しないといけないと思います。感染源をもっているのは仔犬の側という場合が多いことが考えられますから。特に、どんな犬舎で生まれたのかわからない、多数仔犬がいるショップから買ったなどというときは、マナーとしては自分の仔犬が病気をうつす元でないことを確かめたうえで外に行くべきだと思います。

ワクチン接種後すぐ外に出した場合パルボなどの病気になる可能性については、お住まいの地域での犬の感染症事例によると思います。もう何年もパルボは診てないよと獣医さんが言うならそれほど心配はしなくていいでしょうが、パルボの事例があるとか新たに仔犬を飼い始めた家が多い(どこからきたのかわからない仔犬が近所にいる)などの場合はワクチン接種後すぐではなく免疫獲得(接種後約2週間)をしてから外出したほうが安心です。

今後ワクチンの質が変わりもっと早い時期に接種し終える可能性があるかについてですが、可能性はゼロではないと思いますが、ネックになるのは母犬からの移行免疫が効いている間はワクチン接種をしてもワクチンが無効になってしまうという点だと思います。移行免疫があってもワクチンが効く、さらに乳児期に一度打てばもう一生ワクチンを打つ必要がないというものが開発されれば話は別ですね。でも、そううまくはいかないでしょう。病原菌も生き物ですから。

仔犬が、「充実した社会化期を過ごす」「他犬から病気をうつされない」「他犬に病気をうつさない」、この3つを実現するのにいちばん理想的なのは、母犬やいっしょに生まれた兄弟姉妹と共に過ごし、生後2ヶ月目に1回目のワクチン、生後3ヶ月目に2回目ワクチン、そして生後3ヶ月半で巣立っていくことです。これが最も仔犬の心身の成長を思いやってあげる方法です。
ところが、小さくてかわいいうちに売ってしまえとばかりに、生後2ヶ月に満たなかったり、ひどいときは離乳もしていない子を母犬から引き離して商品にしているところがたくさんあります。仔犬の本当の幸せを願うならそんなことはしないはず、できないはず・・。
買う側はそんな商売に加担しないよう、犬を飼うということをよく調べて少しでも多くの知識を得てから購入者になってほしいと思います。

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