星新一さんのショートショートに　こんな話があります。

ある夜、地球に、宇宙の平和を守るために星の住人が危険な生物か否かを調べる目的で、宇宙人がやってきました。
とある家の玄関でチャイムを鳴らしたところ、出てきたその家の住人は、宇宙人を見るなりびっくりして気絶してしまいました。そこで、宇宙人は、気絶した人間の傍らにいた猫に尋ねました。
「この星の支配者は、誰でしょうか？」　猫が答えました。「支配者は私よ。」
宇宙人は尋ねました。「では、そこに倒れている生き物は、なんなのでしょうか？」
「その生き物は、私達のために住居を造ったり、食べ物を用意したり、私達の身の回りを世話をするための生き物よ。」
「このような文明を築くことができる生き物であれば、いつかあなた方支配者に反旗を翻して、反乱を起こしたりはしないでしょうか？」
「大丈夫よ、そこまでの知恵はない生き物だから。」
この猫の答えを聞いて、なるほどと納得して宇宙人は帰って行きました。帰路の宇宙船の中で「猫が支配者であるかぎり、この地球は宇宙の平和を脅かすことはなさそうだな。」と話しました。

猫と人間の関係も、星新一さんの手にかかるとこのような見方になってしまうようです。
反乱するだけの知恵も無く猫に従属しているままの人間というのが、主旨なのですが、この話には、もう一段の落ちがあります。さすがに、そこまでは。
いずれにせよ、古今東西において、「まるで、猫の方が主人であって、支配者のようじゃないか」と感じる感性の方は少なからずはおられるようですね。