獣医師広報板ニュース

鳥類掲示板過去発言No.1700-201808-19

Re:セキセイインコの発情
投稿日 2011年10月13日(木)10時59分 投稿者 プロキオン

自然界においては、秋にも鳥の発情はあるのですが、ちょっとでもタイミングを逃すと雛を育てるのに不都合となってまいますし、餌の減少と気温の下降によって親鳥の発情にもストップがかかり、来春の到来を待たなくてはならなくなります。
原理とすれば、ごくごく単純な話と言えます。

これが飼育されている小鳥ということになると、餌は毎日充分にあたえられているし、寒さからも守られているということになります。屋内ですから、照度も充分に足りています。つまり、発情が継続される条件の中で飼育されているということになりますから、産卵があってしかるべきと言えるのではないでしょうか?

産卵するので、なんとか発情を止めたいという相談は、昔からありましたが、何故か根本的な点を考えようとしない傾向が多かったように思います。
採卵鶏飼育農家においては、鶏は毎日卵を産むことが仕事です。農家は鶏に卵を産ませるために様々な努力をしています。そのような採卵鶏においても、「産み疲れ」という現象があって、産卵率が落ちてしまうことがあります。そこで、農家は、ある方法をとって鶏の産卵を一斉にストップさせるのです。ある程度の期間、産卵を休ませて、それからまた新たに産卵してもらった方が効率的であり、かつ経済的なのです。

ただし、この方法は、小鳥の飼い主には勧められない方法なので、それ以上のことには言及してきませんでした。でも、中には興味を感じられて自分で調べて、それが「強制換羽」と呼ばれるものだと突き止めてしまった方もいらっしゃいました。
では、具体的にどのように「強制換羽」を行うかということになると、言葉にすれば簡単です、「餌を止める」のです。餌が無くなるのですから、鶏にしてみれば一大事であって、卵を産んでいるどころではなく、自分が生きるか死ぬかの問題となります。そこまで追い込むわけなのです。
これを実施すると一つ間違えば、鶏を全滅させかねないわけで、何千あるいは万を越す数の鶏の状態のチェックが欠かせません。これだけの数を抱えている採卵鶏農家に出来て、なぜ、1桁の数の小鳥の飼育者に出来ないのだろう、出来るのではないかと考えてはなりません。
ある意味で「数の問題そのもの」なのですが、農家にとっては数がいるからこそ、落鳥する鶏を指標とすることができるのです。毎度の事で慣れていて、このくらいの期間というのを掴んでいるせいもあるでしょうが、落鳥する鶏が出るという目安というか危険信号があるからできることなのです。
小鳥で、これをやったら、肝心要の小鳥が落鳥してしまい、それこそ臍を咬んでも追いつきません。
( 換羽は、餌を止められた結果として起きる事ですので、給餌を開始する指標にはなりません。 )

ですから、小鳥の飼育者とすれば、餌の質と量を変更したり、寒さにさらすとか、日没以降の照明を控えるとか、ケージ環境において多少のストレスを与える、ぐらいのことで考えていくしかないように思います。

私が小学生の頃に読んでいた飼育書では、発情飼料と通常の飼料とでは、あきらかに別物とされていて、産卵が開始されたら、ただちに通常飼料に戻すように記載されていました。そうしないと、追い盛りがきてしまって、産卵ばかりが続いて落ち着いて抱卵することができないからです。その方がかえって、雛の孵化率が落ちてしまうからです。
昨今、市販されている小鳥の飼料を見ますと、みな栄養価が高すぎるように思います。あれでは、1年中発情しなさいと言っているようなものです。
小鳥は空を飛んで餌を捜すことで、摂取したエネルギーのほとんどを費やすように生まれてきています。空を失った小鳥はエネルギーを持て余さざるをえません。飼料の栄養価については、一考あってしかるべきかもしれません。




◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

サポーター:日本ベェツ・グループ 三鷹獣医科グループ&新座獣医科グループ 小宮山典寛様のリンクバナー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。