獣医師広報板ニュース

動物の愛護掲示板過去発言No.6000-200107-45

ちょっと疑問
投稿日 2001年7月7日(土)13時12分 プロキオン

miraiさんの書き込みを読んで 私もちょっと疑問を感じたのですが、m
iraiさんは、犬は放し飼いの状態もしくは飼い主がいない野良犬の状態が
理想的と考えているのでしょうか?

先日の書き込みの際も「う〜ん?」と思ったのですが、書き込み意図を判断し
かねました。本当にそのように考えているのであれば、個人的な心情はともか
くとして、世間の事情からは認められないと思いますよ。
よくある「ホームページ荒らし」が目的で、騒ぎを起こすことに目的があるの
なら、あまりに意味のない行為のように思いますしね。
書き込みを拝見された方々も多くの場合、意図を判断しかねたのではないでし
ょうか?

動物愛護には、人それぞれの立場やスタンスの違いが存在します。それらを乗
り越えて意見が一致する点と言えば、「動物の飼育に責任を負う」ということ
につきるのではないでしょうか?
miraiさんが書き込まれた内容は、飼育の概念の外の話ですよね。「犬と
暮らす」ということと、「人間の生活圏の中に犬がいてもかまわない」という
こととでは、やはり差異があります。
飼い主である人間が社会で生活する以上は、犬もまた社会的な認知を受ける必
要があります。登録だけでなく、周囲に迷惑をかけないマナーもまた求められ
ます。と同時に 感染症やその他の疾病から人間に守ってもらう権利もありま
す。
犬の繋留が義務となったのは昭和20年代の後半からです。そして、今もって
犬が負う義務も権利も徹底しているとは言いがたい状態です。私の感覚では、
「まだここまでしか来ていない」のです。

欧米では、犬を飼う権利というのがとかくやかましく言われます。そのかわり
に、犬自身にも手が加えられ攻撃的な犬は長い期間の間に選抜淘汰されてきま
した。家庭犬として飼育される犬達も、マナーを躾けられます。これができな
い犬というのは 飼育対象から外されます。社会に出しても大丈夫という犬が
初めて、飼い主のお供をしてあちこちのお店の中にまで入っていくことができ
るわけですし、社会もそれを容認してくれます。

東南アジアでは、残念ながら そこに犬がいるというだけで誰かが責任を負っ
ているわけでもないし、野良犬の数は食料事情がコントロールしている点が大
きいといえるのではないでしょうか?
狂犬病を例にとっても、世界ではまだ毎年35000人を越える人々がこの病
気のために亡くなっています。WHOの統計でも寄生虫感染症部門の第7位に
位置しています。東南アジアに狂犬病のワクチンを送ろうという運動もありま
す。
このような状態は、人間にとっても犬にとっても望ましいこととは私には思え
ません。犬が人間と暮らす以上は、責任を負うべき飼い主が存在するべきだと
私は考えます。
犬という動物を考えるとき、彼等の幸せは 野良犬ではないと私は思います。

もう何年も過ぎてしまいましたが、人から聞いた話ですが、以前こういう話を
書きました。

人間と犬の先祖は大昔にある約束をしたのだそうです。「君と僕は友だちにな
ろう。君の自由を束縛する代わりに ずーっと大事にするからね」と。

飼い主と呼ぶには不足のある人間は多々おりますし、虐待事件の報道も続きま
すが、それでも私は人間と犬との絆を結ぶ努力はこれからも続けられなくては
ならないと思っています。

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