犬が犬を噛み殺したわけですね。実は、私の病院でも同じようなことがありました。
紀州犬が柴犬を噛み殺してしまいました。

紀州犬の方は病院に来たことがない犬で私も直接は知りません。柴犬の方は、患者でし
た。
柴犬の散歩中に　たまたま紀州犬が放されていて、攻撃されてしまい、私の病院に担ぎ
込まれました。状態がひじょうに悪く外観からは分かりませんでしたが、腹壁が破れて
おり、消化管に損傷を受けていました。
結局、柴犬は亡くなり、紀州犬の飼い主もそれをひどく気にされて、相手側の犬が死ん
でいるのに申し訳ない。このまま済ませるわけにはいかないと犬の処分を申し出ていま
した。

翌日、紀州犬の飼い主さんが治療代を払いにきて、言うことには、普段繋いであるワイ
ヤーを犬が外してしまうことがあり、他所の犬を襲ったのは初めてではないとのことで
した。
咬んだだけなら謝れるが、噛み殺してしまうのはやりすぎ。万が一、人間を咬んでしま
ったら、もし、相手が小さい子供であれば、謝って済むことではないと話されていまし
。その場しのぎの言い訳ではなく、本心からの処分の申し出だったようです。

起きてしまったことは起きてしまったことで元へは戻りませんが、お話を聞くかぎり、
相手方の飼い主としての責任感が、ひどく気にかかります。
いずれ、事故の再発があるかもしれません。それは、当該犬にとっても不幸なことだ
と私は思います。