獣医師広報板ニュース

動物看護師掲示板過去発言No.7000-199902-59

自分の場合
投稿日 1999年1月2日(土)00時39分 匿名の獣医

この話題、獣医師フォーラムの方で書き込まれていたので知りました。
ふうかさんとこんな獣医さんの投稿を読み、「動物が好きではない」発言を読み、
似たような事を言う方がいるんだなと思ったので少しだけ、お話させてください。
中身は、だらだらとした自分の思い出話です。

この間、別れちゃった彼女の言
「私と犬のどっちが好きなの?」
そのまたずっと前に別の女性から言われちゃった言
「犬や猫は、甘えるのが上手くって、私の入り込む隙間が無い」。
彼女たちも生き物は飼っていたんですが・・・
あー、恥ずかしい話です(^^;

こんなこと聴かされれば、善し悪しは別にして、
大概の人は「あの人は動物が好きだ」と思う事と思います。
ところが実際、僕は飼い主さんたちには「好きではない」と、答えていました。
「好きではない」=「嫌い」ではないのです。
僕にとって彼らは、吸ってないと窒息する空気のような存在で、
「家族」とも、「友人」とも、ましてや「恋人」とも違います。
これらは、相手が「人間」と言う生き物でないと、やはり、成り立ちません。
「ような]と言う擬人化を受け付けても、やはり、「彼ら」は、「彼ら」なのです。
「玩具」では、もちろんありません。
飼い主さんの言う「好き」が、僕の言う「好き」と違うような気がして、
単純に「好き」と言えませんでした。
そのあたりを、口頭で、簡単に伝える不得手から、
僕も「好きではない」発言をしていました。
今では、単純に「好きです」と答えるようにしています。
理由は簡単です。
やはり、誤解を生じました。

「あの先生は、あまり犬とか猫とか、好きでないらしいよ」
ずいぶん後で知った事ですが、発端は、当時勤めていた病院のAHTが、懇意にしていたブリーダーに
何気ない世間話として、そんな話をした事が原因だったそうです。
結果、誤解が解け、諸々の飼い主さん、特に常連と言われる飼い主さんから
信頼され、使ってもらえるようになるのに一年以上の年月がかかってしまいました。
当時僕は犬も猫も鳥も、10頭以上の動物達を身近に置いていました。
それだけの動物がいる事を彼女たちが知ったのは、僕が職場に勤め出して2年も経ってからの事でした。
当時の僕は、本当の新米で、技術の研鑚一辺倒で、飼い主さんを「見て」話をすると言う事が無く、
本当はそういう気持ちがあってもそれを表に出す事が、かなり下手クソな人間でした。

初めのうちは技術だけ、その習得が一息ついてくると、
「飼い主さん」を見て、「飼い主さん」と話が出来るようになりました。
そして、その必要に気づかせてくれたのは飼い主さん達であり、AHTの人達でした。
僕と言う「人間」を育ててくれたのは周囲の人達だったように思います。

根本的に、獣医学科に進学し、獣医師の資格を取り、なおかつ動物病院に就職した人たちと言うのは、
程度の差こそあれ、動物が「好き」な人達だと思います。
それでも、倫理的に問題のある先生ならば、職場(動物病院)自体に、ある種の自浄作用が働くと思います。
僕が会った先生の中にも、病院にやってくる患者さんを「教材」としてみる傾向の強い先生がいました。
この先生は、獣医師として一本立ちする前に、周りとの激しい軋轢を生じ、退職していきました。
結果として、動物病院に残った(この業界に残っていると言い換えても良いかもしれません)人達は、
動物の好きな人達ではないかと思うのですが、どうでしょうか?

僕自身、勤務5年目を向かえ開業の準備を始めるようになって痛切に思う事は
「AHTは、動物病院に絶対に必要な人たちだ」と、言う事です。
自分が診察・治療をするだけでは足りない(たとえばメンタルな)部分を、
他に人がいればその人が埋めてくれます。
特に、職域が違うと言うのは、こういう時に良い方に働くようです。
「自分一人ではない。周りには人がいる。」
これが、僕が得た教訓の一つでした。

ある程度、人の心を「見る」事が出来るようになるのに、
人間と言うのは本当に時間がかかってしまうようです。
そして、それが出来ない獣医がいたら、しかってやってください。
必ず良い方に、事は進むはずです。

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