獣医師広報板ニュース

動物看護師掲示板過去発言No.7000-200202-11

もとより、安楽死を望むわけは無く
投稿日 2002年2月7日(木)12時25分 プロキオン

さくら先生が御自身の一連の書き込みを削除してしまわれたようなので、私も
これ以上は控えたいと考えますが、その前に一言。

「新しい子が増えたからと行って、古くからいる子に退場してもらうなんて事
、私にはとても考えつきませんでした。私は情けない看護士で、1週間でも一
緒に暮らしてしまった子に対して、自らの手で殺すなんて事はとてもできませ
。」
とシッポナさんはいっておられますが、これは私が「安楽死」を望んでいるか
のように受けとられたということですか?
そういう事態になりたくないので、言っていることなのですよ!

1人の人間が責任をもって受け入れられる数には限度があります。処分できな
いと言って際限なく受け入れて社会問題になった事例は、いくらでもあります。
千葉のの「潮騒の里」、熱海の犬、都留の犬、みな主催者は口ではきれいなこ
とを言っていましたが、その実態は社会から容認されえるものではありません
でした。

一旦関わることを決めたのなら、最後まで責任を負わなくてはなりません。そ
の子を守る義務があります。
その子の一生を守る覚悟がないのなら、中途半端な新規の受け入れは、むしろ
控えるべきです。
むろん、個人の経済力によって引き受ける事ができる頭数には差があります。
余裕のある人はそれだけ受け入れれば良いだけのことなのですが、それでも必
ず限度はあります。当然、その事実は認識しておかなくてはならないし、自ら
の基本的な考えは事前に確立しておくべきです。

ずるずると安易に頭数を増やしてしまって、社会的な非難を浴びるような事態
は、やはりいけないと思うのです。
動物医療の現場にいれば、必ず「死」に直面します。命の在り方を考えなくて
はならない医療従事者が、それでは困るのです。すでにただの一個人ではない
のです。社会はただの個人とは見てくれません、肩書き付きでみているのです。

「猫の森」というのは、キャットシッターの南里秀子さんの著書の中に出てく
ることばです。
1人暮しのお年寄りが、「自分の年齢を考えて、寂しくても今いる猫を最後の
猫にする。次の猫を飼ってしまったら最後が看取れない」という理由で、猫の
飼育を諦めてしまうことに端を発しています。
南里さんは、そういうお年寄りにこそ猫と暮らして欲しいと考えて、お年寄り
が亡くなった後、その猫を引き取って面倒をみる施設を考えられたのです。そ
の施設の名称が「猫の森」なのです。
海外でも同様な考えから、「Last Station(終着駅)」と言う名
前の施設があります。国内でもある動物病院では猫の老人ホームと称して同様
の活動をしているそうです。

これらの施設が個人や団体で運営されようとも、明確な基準規約がなければ、
そこはただの「猫捨て山」になりかねません。大勢の人間が関われば関わる程
その必要性は高まります。
自分達は、どのくらいの数の子の一生を守る事ができるのか、それは必ず考え
なくてはいけないことなのです。
私の病院にいる猫の中の2頭は、何の問題もない健康な猫です。でも、この2
頭はあるお年寄りが、病院(人間の)へ収容されることになり、私達夫婦へ託
していった猫達です。
「何か手にあまるような事態があったら、いかようにしてくれても決して恨み
ませんから、どうかそれまでは…」と涙ながらに手を合わせていった猫達です。
元の飼い主がいくら安楽死を認めてくれていても、私にはとうていできなない
ことです。
かといって、この猫達を野に放つこともしてはいけないことです。とすれば、
私には新たな捨て猫を受け入れないという選択枝しか残されていないのではな
いでしょうか。
命には「優先順位」が存在します。飼い主の都合などということではなくてね。
人間の命だって優先順位があるでしょう。
神戸の震災を思い出して下さい、器材器具人員に限りがあれば、対象が人間で
あっても命に優先順位をつけなくてはならないのです。これは医療従事者に託
された重い使命なのです。そのような場面に遭遇しなければ良いのですが、も
し遭遇してしまったら、その責任から逃げるわけにはいかないのです。
動物病院でも、日常の業務においてどちらの仕事を優先するかがあるはずです。
極端な場合、本当にどちらの命を優先するかが問われる事態だってありえます。
助けなければならない命はどちらか、守らなくてはならない命はどちらなのか、
私達の仕事は、その判断を委ねられている職業なのです。


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