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二十四時間の情事(ヒロシマモナムール)      


1959年 フランス・日本  ロマンス・戦争

<監督>アラン・レネ
<キャスト>エマニュエル・リヴァ , 岡田英次

<ストーリー>
映画の撮影で広島を訪れたフランス人女性(エマニュエル・リヴァ)と、広島に住む建築家の男性(岡田英次)の限られた時間の中での情事。男は原爆によって家族を失い、女は、戦争で、恋人と、心を失った。二人は、当時、全く違う場所にいながら、戦争によって、深く傷ついていたのだ・・・。

<感想>
おそらく、映画公開当時の題名は「ヒロシマモナムール」だったのでしょうが、DVDの発売と共に、題名が変更されて、「二十四時間の情事」になったのだろうと思われます。う〜〜ん、こっちの方が、インパクトは強いんだけれど、題名から想像するものと、内容とは、ギャップがあるのではないでしょうか・・・(^^;。
確かに、1日だけの旅先での不倫=情事の話なのだけど、大切なことは、舞台となるのが、戦後10数年経った広島ということでしょう。

女は、原爆投下から10数年後に広島の地に降り立って、戦争の傷痕や、原爆資料館を「見た」のだけれど、男は、「見ていない」という。それは、真実を見たことにはならないということなのでしょうか。
そういう女の言葉と共に、広島での原爆被害者たちの映像が流れます。これはちょっと作り物めいているところもあって、ん??と思ったりしますが、見た人に与えるインパクトは、とても強いと思われます。
また、女にも、辛い過去があり、後半は、彼女の話になってゆきます。

監督は、「夜と霧」のアラン・レネ。
こうして外国人監督の目で改めてグローバルに広島を考えてみると、あまりにも、広島を扱った映画が少ないような気がしてきました。
とても悲惨な出来事で、何の罪もない一般の人たちが一瞬にして命を絶たれ、もしくは、生き残ったとしても、体と心の傷を抱えてしまったにもかかわらず、です。
爆弾を落としたのが、結果的に戦勝国のアメリカで、これによって、戦争が終わったからというには、あまりにも、悲惨な結果ですよね。

映画の中でも言っていたように、人の記憶は、徐々に消えていってしまいます。残された資料や映像によって、知ることは出来ても、それはその事実を「見た」ことになるのでしょうか・・・。
これは、ハリウッドでは、絶対作られない類の映画でしょうねぇ。

日本人の男を岡田英次が演じていますが、日本人らしくない、彫りの深い顔立ちで、とっても素敵(^^)。フランス女優との2ショットでも、決して引けを取らない美しさでした。全編フランス語で演じきった彼、発音の方は、やはり、フランス人並みとはいかないかもしれないですが、ともかく、すごいです(^^)。(2006,11,03)



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