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「メアリー・スチュアート」
アレキサンドル・デュマ



三度の不幸な結婚とたび重なる政争、十九年に及ぶ監禁生活の果てに、エリザベス一世に処刑されたスコットランド女王メアリー。 悲劇の運命とカトリックの教えに殉じた、孤高の生と死。 (帯より)



映画「エリザベス ゴールデン・エイジ」にも登場したメアリー・スチュアートを、文豪デュマが描いた彼の初期作品で、本邦初訳だそうです。

デュマと言えば、「三銃士」とか、「モンテ・クリフト伯」とか、有名な本をたくさん執筆した大文豪。でも、私は、実際に読んだことはなく、みんな映画やドラマで目にしたことがあるだけでした。
今回のメアリー・スチュアートは、どういう人物だったのかと、前から気になっていた人だったので、読んでみようと、一大決心をしたのでした。
だって、この頃の小説って、もしかすると難しくて退屈かもしれないし、だいたい、同じような名前が多い上、家系図が複雑・・・。
でも、この本には、ちゃんと人物紹介や王家の家系図、そして地図までもが巻頭に表示されてある、とっても親切で、読みやすく、歴史に疎い私に最適な本でした。

彼女の人生は、苦難の人生でした。
生まれてたった6日でスコットランド女王になり、6歳でフランス王太子の花嫁となるべくフランスに渡り、16歳で結婚、2年後に寡婦となり、スコットランドに戻って女王として国を統治。その後は、夫殺害の容疑や、エリザベス女王暗殺の罪に問われて19年間幽閉され、そして、処刑・・・。
これが、生まれながらにして高貴な女王だったメアリー・スチュアートの、悲惨な一生です。

イングランドの女王、エリザベス一世とは、叔母・姪の関係でありながら、同じ時代に生きた女性同士であり、そして、イングランドとスコットランドの女王であったがために、いつの間にか敵対してしまったのでした。もちろんそれには、宗教問題、人々の思惑、王位継承権などが、複雑に絡んでいたことも事実です。
同じ女性でありながら、エリザベスは、国と共に生き、メアリーは、女性として生きようとした・・・ということなのかもしれません。

それにしても、女性でありながら一国を収めると言うことは、本当に大変なことですねぇ。
常に威厳を持ち、何があってもうろたえることなく、最期まで堂々としていなければならない。
やはり、上に立つ者は、常に孤独で、だからこそ、メアリーは、愛を求め、そのために、不幸への道を歩んだのでしょうか。
本書には、当時の出来事が順を追って記され、そして、最期の様子も事細かく描かれていて、不運であった彼女の無念さが、伝わってきました。

こんな不幸な生涯を送った彼女にも、何度か、回数を数えられるほどの少なさですが、うれしかったり、幸せだったりしたことがあったようです。
これらのことを知った上で、もう1度「エリザベス ゴールデン・エイジ」を見ると、また、違った思いで、見ることが出来そうです。 (2009,02,10)