シネマチェックトップページbook作家別index題名別index     






「ラジオ・キラー」
セバスチャン・フィツェック



その日が、彼女の人生最期の日となるはずだった。高名な犯罪心理学者でベルリン警察の交渉人イーラの心には、長女の自殺が耐え難くのしかかっていたのだ。しかし、ベルリンのラジオ局で起こった、人質立てこもり事件現場へと連れ出されてしまう。サイコな知能犯が、ラジオを使った人質殺人ゲームを始めようとしていたからだ。おまけに犯人の要求は、事故死した婚約者を連れてくると言う不可解なものだった。リスナーが固唾をのむ中、犯人との交渉を始めたイーラは、知られたくない過去を、公共電波で明らかにせざるを得なくなる。そして事件は、思いも寄らぬ展開へと、なだれ込んでいくのだった・・・一気に読ませる、驚異のノンストップ・サイコスリラー! (裏表紙より)



デビュー作「治療島」で、2006年に華々しくデビューしたセバスチャン・フィツェックの第二作目です。先日読んだ「前世療法」の前に書かれた作品で、これでやっと全作制覇です(^^)。

セバスチャン自身、この作品を書いた当時も、ラジオ局のディレクターとして、勤務していたそうです。その経験が、十分にこの作品に生かされています。

突然起こった人質立てこもり事件・・・。
果たして、犯人は?そして、人質は??

緊迫する事件そのものも面白いのですが、この作品のヒロインとなる、交渉人のイーラが、普通の状態とはひと味違う立場の女性として出てくるのがユニークです。
イーラは、ベテランの交渉人であり、二人の娘の母親なのですが、ある事情を抱え、人生に絶望して、まさに自殺寸前の所を、犯人の前に立たされてしまうのでした。
そんな状態の女性に、人質救出が出来るのか??!

相変わらずのスピード感と、驚きの出来事の積み重ねで、飽きることなく読めました。
次から次へと暴かれる真実。
いったい何が、本当のことなのか??
読みながら翻弄させられました。

この作品は、他の作品に比べて、事件現場がラジオ局内とごく限られた場所。でも、内容の広がりは大きくて、犯人側と、ヒロイン側のバックボーンがしっかりしているところが読み所ですね。

読み終わってから、これを映画にするならば・・・と、つい考えてしまうのが、この人の作品の特徴です(^^)。
ベテラン女交渉人という役どころ、10年前ならヘレン・ミレンなのですが、今だったら、ちょっと若いけど、アシュレイ・ジャドとか?シガニー・ウィバーでもいいかな〜。
犯人役は、ジム・カヴィーゼルなんて、どうでしょうかね〜(^^)。 (2009,02,18)