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「草原の椅子」
宮本輝
離婚して娘と暮らす遠間憲太郎は、陶器店を経営する篠原喜志子に少年のような恋をした。女は狼だという富樫重蔵とは、ともに五十歳で親友の契りを結んでいる。ある日、憲太郎は、母親から虐待を受け、心身ともに未発達の幼児、圭輔を預かることになった。憲太郎と富樫は、萎縮した圭輔の心に生きる強さを懸命に吹き込むが・・・・。人生の困難、生の荘厳を描く、心震える感動の雄編前編。(裏表紙より)



五十歳になり、離婚した憲太郎は、パキスタンのフンザで、ある老人に、「あなたの瞳の中には、三つの青い星がある・・・」といわれてから、ずっとそのことが気に掛かっていた。

そんな彼も、日本に帰れば、様々な日常に、日々、悩殺されてゆく。

冒頭は、壮大な物語が始まる予感に、胸がわくわくしたのですが、
それ以降は、日本での日常の物語が、延々と続きます。
その日常の出来事も、なかなか読み応えが有る物語で、すらすらとページは、進みました。
でも、私は、冒頭のわくわく感が、忘れられず、ちょっとばかりのがっかり感は、否めませんでした。

それが、終盤になって、やっと、その壮大さが戻ってきます。
”生きて帰らざる海”といわれるタクラマカン砂漠の壮大さ。
初老の男性だけではなく、子どもや、女性が、このような場所を旅行するには、大分しんどそうでしたが、これを読んでいると、なんだか私にも行かれそうに思えて、とっても行きたくなってしまいました。

日本の中で、ちまちま生きていると、いろいろなことにストレスを感じて、鬱々としてしまうものですが、こうした、大きな自然の中では、きっとそんなこと、ほんのちっぽけなことに思えて、どんなことにも挑戦してみようという気持ちになるような気がします。
いつかほんとうに行けたらいいな。

ということで、旅行サイトで調べてみたら、やっぱり、この本や、その後の映画化の影響で、結構ツアーがあるようでした。
でも、やっぱり行くなら個人旅行かな〜〜(^▽^)。 (2013,06,27)



映画「草原の椅子」感想