講演会記録(平成14年)

平 成14年12月22日 (日) 沖縄県那覇市 沖縄県獣医師会主催
平 成14年12月17日(火)埼玉県久喜市教育委員会・獣医師会共催   
平 成14年12月12日 (木) 新潟県長岡市中越獣医師会
平成14年11月30日(土)西東京市 向台小学校PT講演会
平 成14年11月27日(水)日本獣医畜産大学・伴侶動物学「獣医師会の飼育支援活動」 (2回目)
平成14年11月26日(火)栃木県 教員研 修会
平成14年11月25日(月)武蔵野市、武蔵野女子大学(実習)
平成14年11月20日(水)日本獣医畜産大学・伴侶動物学「飼育の教育的意義と課題」
平成14年10月29日(火)日本学術会議シンポジウム ・開催報告
平成14年10月17日(木)東北地区獣医師大会シンポジウム
平成14年10月6日(日)日本小動物獣医師会 02’年次大会(仙台)
平成14年9月27日(金)西東京市立谷戸第2小学校地区公開事業 PTA向け講演
平成14年9月24日(火)杉並区立大宮小学校授業(杉並区獣医師会担当)
平成14年9月18日(水)西東京市立田無小学校地区公開講座。授業「モルモットを育てよう」
平成14年9月8日(日)東京都 東京大学弥生講堂
平成14年8月19日(月)山形県獣医師会
平成14年8月9日(金)徳島県 徳島県小学校教育研究会生活科部会主 催
平成14年8月8日(木)徳島県教育女性連盟主催
平成14年8月4、5、6、7日(横浜パシフィコ) 教育ソリューションフェア
平成14年8月1日(水)西東京市立谷戸第2小学校教員研修会
平成14年7月29日(月)武蔵野第3小学校
平成14年7月18日(木)小田原市教育委員会主催
平成14年7月9、15日 武蔵野市 武蔵野女子大 学
平成14年6月29日(土)東村山市立富士見小学校
平成14年6月22日23日(土・日) 動物との共生を考える連絡会第2回シンポジウム
平成14年6月24日(月)川崎市教育委員会主催
平成14年6月8日(土)東京都 コンパニオンアニマル リサーチ主催
平成14年5月31日(金)さいたま市教育員会主催
平成14年5月17日(金)大阪府獣医師会三島支部主催
平成14年4月28日(日)山梨県獣医師会主催
平成14年2月19日(火)長崎県獣医師会主催
平成14年2月15日(金)千葉市 (社)千葉県獣医師会主催
平成14年2月3日(日)滋賀県獣医師会主催
平成14年1月24日(木)高知県



平成14年12月22日(土)沖縄県縄県 ・沖縄県獣医師会
主催:日本小動物獣医師会 会場:浦添市ハーモニーセンター
    浦添市安波茶123 098(874)5711
内容;第1部 午後1時から3時
    〈学校飼育動物の役割とゆとりある飼育法〉
   対象;教職員、獣医師、市民 

    第2部 午後3時半から5時
     獣医師の学校への係わり
講師: 中川美穂子 (日本小動物獣医師会学校飼育動物対策委員会副委員長)
        山本精治 (   同 会       学校飼育動物対策委員会 委員長)
   対象:獣医師会員

後援:沖縄県   浦添市   社)沖縄県獣医師会  沖縄県小動物獣医師会    

  東京を出る時雪の心配がありましたが、沖縄は20度以上あり、冷房を使っていました。
このような所と、長岡のような所では、おのずと飼育者の形態も変わる必要がありますが、
現在は、日本国中、同じ飼育舎が建てられています。無理がありますね。

 先生がたが、飼育のお子さん(6年生)を連れて参加され、いつもと具合が違いました。
しかし、長い話をきいてくださり、最後のビデオは同じ年の子が映りますので、楽しんだようでした。

ここでも学校の先生方は、獣医師会が助けてくれるのはありがたい、との話になりました。
飼育の子がききたかった、一つ一つの世話の仕方については、話が及ばず悪いことをしましたが、そのことはマニュアルを見ていただきました。先生と一緒に検 討なさって良い本をえらばれたようでした。

第2部については、学校の事情など、獣医師が学校やお役所と誤解なく話しをするための、注意点などをお話しし ました。山本委員長も千葉での経験などを話してくださりとても充実した話し合いが出来たと思います。
しかし、県の小動物獣医師会の担当者によれば,何と言っても基礎をお話しした第1部が印象的であったとのことです。

 今回は、県の衛生課のお役人さんが、中心になって開催してくださいましたが、沖縄県獣医師会の会長先生は、 私達と同じ思いで、今まで学校に係わっておられたとのことで、とても理解をして下さいました。
 これから先進の地域と連絡をとりながら、子供たちのために、良い飼育が実現するように支援体制をつくりたいと言っておられました。

ページの先頭へ


平成14年12月17日(火)埼玉県久喜市教育委 員会・獣医師会主催

埼玉県久喜市 
主催:久喜市教育委員会 後援:久喜市獣医師会  
時間:午後3時半から5時まで
場所:久喜市文化会館 広域展示室
   
内容:飼育の意義とゆとりある飼育法
講師:中川美穂子

対象:教育関係者(飼育担当者、管理者)  獣医師会会員

 この地域は、3年くらい前から時々HPに先生などから助けをもとめる投稿があり、そのたびに地域の獣医師会 にお願いしていました。
今回、講習会を教育委員会が獣医師会と共同で開くことになり、やっと伺うことに成りました。

この市は人口10万人にならない地域ですが、それだけに心が豊かのように見えました。ご不在の教育長さんの代 わりに教育次長さんが最後まで話しを聞いてくださり、その後も地域の獣医師会の方と教育委員会の担当の方と一緒に感想やこれからのことを話して下さいまし た。市は来年度に向けて準備しているそうです。

獣医師会も若い人がやる気でおられるとの事で、来年度から順調に進むだろう と思います。                                ページの先頭へ


平成14年12月12日(木):新潟県長岡市 主催:中越獣医師会
 時間;15:00から17:00
 場所:アトリウム長岡
 講演:動物飼育の意義とゆとりある飼育法
 講師:中川 美穂子
 後援:長岡市教育委員会 長岡健康福祉環境事務所
   柏崎健康福祉事務所 新潟県動物愛護協会中越支部 柏崎支部

 駅に降りた途端、雪が積もっているのに吹雪いていると、さすが、と感心しました。
その中で皆様が 熱心にお集まりになり、そのちょっと前に東京で積もった雪のことを、皆さんが「それで大雪かい!」と何故それで転ぶのだと感心なさってお られました。

 参加者は10人の教員の方、教育学部の学生さん1名を含む43名でした。獣医師会関係のかたは殆ど参加な さったようですが、残念ながら教育委員会からはお一人もお参加なさっていないようでした。今、全国的に子供のために行政が対応を始めていますが、ここでは これからのようです。
 なお、参加なさった教員の方々から、いろいろ質問が相次ぎ、獣医師会の担当者が「1度いって、現場を見ながら一緒に考えましょう」とお答えしていまし た。
 教員の方々は、今まで獣医師さんが、手伝ってくれるとは夢にも思わなかったが、獣医師の思いがわかって良かったと、言ってらっしゃいました。
 また獣医師会の方も、話しを聞いて学校への係わり方が解って良かったと、いってくださいました。

  これから、良い関係が生まれますように、と、その晩は祈願しながら雪見 酒! ほんの気分だけ、                             ページの先頭へ


平成14年11月27日(水)武蔵野市(日 小獣は関わっていません)
 場所:日本獣医畜産大学 
 内容:伴侶動物学
     「学校飼育動物への獣医師の関わり」(2回目)
 時間:午前9時40分から10時40分
 講師:中川美穂子

2週にわたって、基礎的な問題点と考え方、実際の子供たちの様子と担当の先生の考え、獣医師会の対応などにつ いてお話ししました。また、獣医師は動物に関して、唯一の国家資格者である、社会に向かって助言、提言する義務と責任があると、学生さんに発破を買えさせ ていただきました。
 その後感想文をいただきましたが、獣医大学に入っても自分の目的が良く解らなかったが、今回 明瞭につかむことができた、とか、自分も頑張りたいとか、 元気になるような感想を書いてくださった方もありました。
 また、小学校のことを思いだした、今まで考えたことが無かったが、大事なことだ、などと、教育系大学の学生さんとさほど変わらない感想を書いて方もあり ました。
  獣医大学に進んだからといって、特に今まで、動物の人への影響を考えている分けではないのだ、と思いました。

講義を聴いてくださった担当教授は、社会に向けて自分たちが、獣医師として  どのうようにかかわっていくのかを、学生さんに考えさせる良い機会であったと、感想を述べてくださいました。                                                                              ページの先頭へ


平成14年11月26日(火):栃木県宇都宮市
時間:13:00から16:30  場所:総合教育センター
学校飼育動物 教員研修会
 主催:栃木県教育委員会 後援:社)栃木県獣医師会
内容:「今、心の教育に求められているもの」
    1、生命尊重の心を育む学校教育」
        鳩貝太郎先生
     (国立教育政策研究所 教育過程研究センター 総括研究官)
    2、「かわいがってこそ、子どもを育てる動物たち
        中川美穂子先生
 <実践報告>
 1、獣医師との連携を図った体験活動
  那須町立大島小学校 教諭 高根沢美代子 先生
 2、学校飼育動物に係わる体験活動
  佐野市立船津川小学校 教諭 石島敦子 先生
 3、学校飼育動物と子供たち
  栃木県獣医師会 安佐支部  獣医師 亀山与一 先生
  この県では、4回目の講習会で、平成11年3月と6月に嶋野視学官と、13年に日置教 科調査官とご一緒しています。また最初と13年には群馬県の桑原先生方も話して下さっています。 獣医師会によれば、今回の参加者は教員80名、獣医師 50名、一般10名の計140名でしたが、教員の参加予定者は当日になって半減したのが残念とのことでした。しかし、年々教員の参加者は増えています。

 鳩貝先生は、国立教育政策研究所教育課程研究センターの総括研究官で科学教育と生物教育の調査研究をし ている方です。時々新聞に「世界と比べて日本の子どもの学力は、、」と出ることがありますが、この世界比較の国際プロジェクトに関わっている方で、世界の 教育事情に詳しいかたです。 また、先日行なわれた日本学術会議での「学校教育における飼育動物」とのシンポジウムをコーディネートされた方です。

 先生は、まず、世界的にみて日本の教育の水準はトップクラスであり、教員の方々の指導力はすばらしいも のであると延べ、下のようにお話しになりました。

  全国で一定の教育水準を保つために学習指導要領を持っている国は、韓国などわずかで、他の国は日本の 制度や教員研修制度に注目して研究している。永年日本を目標にしていたシンガポールが、最近は日本と韓国の2位ヴループの上位にあるが、あの国の国土の事 情と日本の全土を比較していることを考えるべきだろう。

 なお、学習指導要領の生活科、理科、道徳には動物飼育と植物栽培について低学年、中学年、高学年それぞ れに目標がさだめてあり、生命尊重の心を育み、自然を尊重することが示されている。また、生命尊重の心を育む指導は、次ぎのことが大切である。
1、 教材構成の視点からは
  生き物から学ぶ、生き物について学ぶ、生き物のために学ぶことが重要で、体験的な学びを科学的な学びに、また自分の生き物体験から地域、地球と視点を 広げるようにすることが大事である。
2、 専門家と連携した飼育、管理、学習指導を考える立場から
環境省が平成14年5月に告示した「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」に『学校、福祉施設等の管理者は、動物の飼養及び保管が、獣医師等十分な知識 と経験を有するものの指導の下に行なわれるよう努める(一部略)』とあり、また学習指導要領の解説書生活科編には『小動物の飼育に際し、獣医師との連携が 必要(略)』と記されてある。
 これからは獣医師等の専門家との連携を、どうしても考なければならない時代である。
3、 教員研修の拡充
 今、生命尊重の心を育む学校教育全体での体制作りが必要であり、研修の機会の拡充に努め、飼育、管理方法の共通理解、系統的で意図的な指導計画の作成、 学習プログラム、ワークシートなどの開発とその保存、共有化を考えなくてはならない。
―――

 また、私たちの話の後に、
 那須町立大島小学校と佐野市立船津川小学校の先生方が獣医師との連携事業の活動報告を行いました。最後に獣医師会の担当者が、栃木県獣医師会の3年間の 活動について報告なさいました。
 連携1年目の那須町の大島小学校の先生は、獣医師の支援で子供たちがいきいきと動物と交流していることを、又連携4年目の佐野市の船津川小学校の先生 は、子供たちのつぶやきを紹介なさいました。

 つぶやきの例として、
 皆の可愛がっていたチャッピーというウサギが死んで、みんなでとても悲しい想いをしたあとのこと、二人の男の子が階段で落ちしそうに揉み合っていたと き、「危ないことはやめて。この間チャッピーが死んだとき、あんなにみんなで悲しかったでしょう。あなたたちが階段から落ちてもしものことがあったら、悲 しむ人がたくさんいるんだよ」と言い聞かせる子がいたそうです。それを聞いて男の子たちは、ふざけるのを素直にやめたそうです。先生は「可愛がっていた動 物の死を悲しんだ経験があったので、生き方を考えることができる」とお話になりました。
 お二人の先生のお話はとても感動的で、鳩貝先生もとても良い実践を知ることができ、幸せと感想を述べられ、県教育委員会も、とても良い研修会になったと 喜んでおられたそうです。
 なお、この会には熊本県からも教員が参加され、これからの飼育にかける抱負と質問を話して下さいました。また横浜市からも獣医師の参加がありました。
 獣医師会の広がりも見られますが、なにより教育関係者への広がりがだんだん目に見えてきたことは、とても有意義だと感じました。あちこちで、このように 教員の研究会に、先生方の実践を通して飼育の意義と獣医師の支援活動の役割について話していいただけるのが一番だと思っています。

 なお、社)栃木県獣医師会長のご挨拶の中で、獣医師会は全県で教育方の要望を受ける準備を整えていると ありました。県財政が厳しいために、一時は「来年から県予算うち止め」との話が出て、獣医師会はご苦労なさったようです。しかし、もう直ぐ4年にもなる実 績を考慮してくださり、県は来年もこの事業を続けることにしました。

  現在は依託契約ですので、不安定なところがあるのかも知れません。                                                ページの先頭へ


平成14年10月29日(火)日本学術会議シンポジウム
要旨

主 催:日本学術会議科学教育研究連絡委員会,獣医学研究連絡委員会
後 援:日本獣医師会,日本獣医学会,全国大学獣医学関係代表者協議会,日本小動物獣医師会,全国連合小学校長会(申請中),
          日本生活科・総合的学習教育学会

開催趣旨     
  小学校学習指導要領には動植物を育てることで生命を知り,生物愛護の態度を育てることが示されている。多くの小学校においては動物の飼育が行われ,子ども たちに生命尊重や思いやりの態度を育む活動が行われ成果を挙げている。しかし,学校における動物の飼育や子どもたちとの触れ合いの方法,それらの効果につ いての知識・経験は,必ずしも十分に蓄積され,体系化されてはいない。
  そこで,科学教育研究連絡委員会と獣医学研究連絡委員会はこの問題についての勉強会を組織し,問題点と解決の方向について検討を行ってきた。その成果をも とに,教員,獣医師,そしてこの問題に興味を持つ多くの人を対象に前期両研連共催のシンポジウムを開催することとした。

プログラム

 開会行事(13:15から13:30)

   シンポジウム(13:30から17:00)
   コーディネーター:鳩貝太郎(国立教育政策研究所)

      シンポジスト 
           山田卓三(名古屋芸術大学)
       「学校における飼育動物の意義と問題点」

        中川美穂子(中川動物病院)
       「学校飼育動物と獣医師の学校支援」

        中村克樹(京都大学霊長類研究所)
        「相手の情動を読みとる脳の働き」

        岡田美智男
    ((株)国際電気通信基礎研究所(ATR)知能ロボティクス研究所)
        「発達の関係論的な視点からみたロボットと子供たちとの関わり」

       休 憩
       総合討論
    閉 会

○シンポジウムのねらい

コーディネーター:鳩貝 太郎(国立教育政策研究所教育課程研究センター)
 
各小学校では従前から動物飼育が行われていたが,生活科の創設により動物飼育がより一層拡充した。各小学校での動物飼育は子どもたちに生命尊重や思いやり の態度を育むとともに生き物に対する興味・関心や学習意欲を高めるなどの成果を上げている。しかし,動物を活用した指導や飼育管理に関する教師の知識や経 験は不十分であり,学校では多くの課題を抱えている。それらの現状を踏まえ,獣医師会が教育委員会や学校と連携して動物介在教育の支援や教員研修を行い成 果を上げている地域が増えている。
一方,脳科学や認知ロボットの研究では子どもたちのコミュニケーション発達と動物との関わりについて新たな示唆がえられている。
本シンポジウムでは,学校での動物飼育の課題と認知科学の研究成果との相互交流を行い,子どもの発達と動物飼育との関わりにおける新たな意義を探りたい。

○ シンポジストの講演要旨

■ 山田 卓三(名古屋芸術大学教授・兵庫教育大学名誉教授)

「学校教育における飼育動物の意義と問題点」 

  学校で飼育している動物には,理科室や各教室で飼育している教材生物と学校の施設で飼育している飼育動物とがある。また,玄関や廊下などにメダカや地域の 魚貝類などが展示飼育されている場合もある。しかし,本シンポジウムは獣医研連との合同なので魚類などは除き,主に学校の施設で飼育しているウサギやハム スターなど哺乳動物に焦点を当て検討したい。現在,学校飼育動物の上位はニワトリとウサギである。鳥類としては他にアヒルやセキセイインコやジュウシマツ などの小鳥,特殊な例ではクジャクなどがある。ほ乳類としてはハムスター,モルモット,マウスなど,特殊なものとしてはヤギ,ブタ,ウマ(ポニー)など。 これらの飼育のねらいとしてはふれあいを通して命の大切さや感性の育成,さらには,飼育をすること自体による責任感や勤労体験などが考えられる。また,ブ タやポニーなどの大型動物の飼育には総合学習などさらなる意図やねらいがある。これらの意義については今更ここで取り上げるまでもないことである。
ここで取り上げ検討したいのは飼育管理,ふれあいに関する問題点である。休日の飼育管理,飼育施設の衛生管理,病気の治療や飼料代など飼育管理に関わる諸 費用,動物を筒や箱に入れて物を扱うように遊ぶなど問題点も多く,これらの問題をどうしたら良いか,さらに学校で飼育すること自体の是非についても検討し たい。

■ 中川 美穂子(中川動物病院・日本小動物獣医師会学校飼育動物対策委員会副委員長)

「学校飼育動物と獣医師の学校支援」

動物飼育の先進国である欧米では,1960年代後半から「動物の人への影響」が研究され,動物が人に心理 的効果や生理的効果を及ぼすことが確認されている。特に成長期の子どもが動物を継続して世話をするうちに,動物になつかれて愛情を持って交流することで, 情緒や責任感さらには社会性の発達に良い効果を得ることが報告されている。以上のことを踏まえ,2001年リオデジャネイロで行われた「第9回 人と動物 の関係に関する国際会議」は,学校での動物介在教育の考え方や方法についてガイドラインを採択し,子どもの体験を豊かにするよう提言した。
 わが国では,小学校の生活科で動物飼育が奨励されているが,教員養成課程には「動物飼育に関する」授業内容がないため,教員は適切に動物を扱う知識や方 法を知らぬまま,動物が死ぬに任せる飼育を子ども達に行わせていることが多い。そのため学校では飼育の教育的効果を疑問視し,飼育活動を減退させる傾向が 見られている。
 一方,1991年,東京の保谷市(現西東京市)では教育委員会が動物飼育の教育的効果を認め「公立小学校における飼育動物の治療と飼育指導」について市 教育委員会と市獣医師会が連携することになった。獣医師は子ども達への動物介在教育の支援と教員への研修を行い,効果をあげている。
 2002年9月現在,11都道府県を含む75自治体が獣医師会と連携契約をしており,獣医師が学校に関わりを持っている市区町村は22都道府県の約 250になっている。(また契約のないままボランティアとして関わっている獣医師は全国各地にいる。)今後,学校獣医師の制度化が必要となろう。

■ 中村 克樹(京都大学霊長類研究所助教授)

   「相手の情動を読みとる脳の働き」

社会生活を営むうえで,他者と上手くコミュニケーションをとることが重要である。私たちは,言語を使わな くとも,身振り・表情などの動作や声の抑揚を用いて,感情・情動を他者に伝え,また読み取ることができる。また,視線や動作を手がかりに,相手の注意の向 きや意図を知ることができる。このような機能は,ヒト以外の動物にも言語を獲得する以前の乳幼児にもみられる機能で,コミュニケーションの起源であると考 えられる。その役割は,社会生活で不必要な争いを避け,より良い関係を築き上げる上で重要であると考えられている。私たちが行ったPET (positron emission tomography),fMRI (functional magnetic resonance imaging)実験の結果をもとに,上記のような非言語(nonverbalあるいはnonlinguistic)コミュニケーションに関する脳の部位 について考察する。

■ 岡田美智男((株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)  知能ロボティクス研究所主任研究員)

   「発達の関係論的な視点からみたロボットと子供たちとの関わり」

「いかにもロボットのような」という形容は,これまで「作り込まれた動き,融通の利かなさ」を表現するも のであって,あまりいい意味には使われていない.その意味で,ロボットに関する議論は教育現場における飼育動物の話題とは最も遠いところにあるのかもしれ ない.しかし,認知ロボティクスの分野では,いつも動物や生物,そしてヒトに対して,ある羨望のまなざしをもって見てきたところがある.人工物であるロ ボットとヒトとのコミュニケーションは可能なのか,ロボットと生き物との本質的な違いはなにか,などを問うことは,ヒトとヒト,あるいはヒトと動物とのコ ミュニケーションや社会的な存在としての意味を問い直すことでもある.本発表では,Cognitive Robotics, Biological-inspired Robotic,Sociable Roboticsあるいは Epigenetic Roboticsなど,最近の認知ロボティクスの研究動向を概観しながら,動物と子供たちとの関わりやコミュニケーションの様相を,ロボットの内なる視点 から逆照射してみたい.また,発達の関係論的な視点から,ロボットと子供たちとの関わりにおける新たなコミュニケーションの可能性とその限界などを議論す ることで,子供たちと飼育動物との関わりにおける新たな意義を探ってみたい.

日本学術会議のシンポジウム「学校教育と飼育動物」開催報 告

H14、10月29日、午後1時半から5時
 日本学術会議が、科学教育研究連絡委員会(委員長坂元昴先生・獣医学研究連絡委員会(委員長唐木英明先生)共催でシンポジウムを開催しまたのでご報告い たします。(両研究連絡委員会は 日本獣医学会 日本生物教育学会 日本環境教育学会 など諸学会から構成されています)
テーマ 「学校教育における飼育動物」
会場:日本学術会議
シンポジスト(それぞれ30分の問題提起をしました)
1、山田卓三(名古屋芸術大学教授)
   (学校における飼育動物の意義と問題点)
  体験教育大家で、日本環境教育学会から参加なさいました。飼育は小ども達に確かに良い影響を与えるが飼育方法が重要で、現在の飼育のあり方は問題が多 く、教師も困っているので、動物園などのふれあい教室を活用したらいかがかと、主に飼育舎での飼育についてお話になりました。また先生の教え子で兵庫教育 大学の大学院大学生(おうちでは動物病院のAHT)が1000人の学生を調査した結果を報告なさいました。彼等が飼育に持つ印象などいろいろありました が、一番多いのは「臭くて汚い」で、私たちの調査と同じ結果でした。

2、中川美穂子(日本小動物獣医師会学校飼育動物対策委員会、副委員長)
              (学校飼育動物と獣医師の学校支援)
いつもの通り、飼育のあるべき意義と、現状と改善点と獣医師の支援体制と成果、教員への教育の必要性について述べました。ただ、政府への提言機関であるの で、教育界の大御所や日獣などの、影響力のある方が多く集まりましたので、非常に緊張しました。なにしろ獣医師の立場を担いましたので、これを機会に「学 校では動物を飼わないようにしよう」、と結論がでたら大変だと恐れ交感神経が興奮し、のどは乾くし、息継ぎはできないし、ひどい話し方になってしまいまし た。皆様が中川でもああなるのかと、妙な感心をなさっていらっしゃいました。

 また、後の討論の時間に追加として八戸市での学校獣医師の活動のテレビ放送のテープを青森県獣医師会三 八支部の山内正孝先生からお借りして紹介させていただきました。

3、中村克樹(京都大学霊長類研究所助教授)
              (相手の情動を読みとる脳の働き)
 fMRIという脳の興奮を光として捕らえることができる機械を使った調査から、脳の発達と部位などについてお話になりました。
 特に非言語的なコミュニケーション能力を司る脳などについてお話になりましたが、これは発達時期に、子供が人と関わることで脳の前頭部を発達させて能力 を培う。また、この能力が明らかに低い場合アレキシサイミアという状態になる。この人たちは、人と交流ができず、感情も平坦な症状をあらわす。脳は頻繁に 刺激する(シナプスが興奮する)ことで育つのであるが、最近、このアレキシサイミアの症状を持つ人が、国立大学の学生に2桁の%でそんざいするのが気に なっている。これが病的なことなのか、遺伝子によるものなのかはまだ不明であるが、とにかく子供の発達のためには、小さいときからのこの部位に(だけでは ないが)良い刺激を与えることが必要だろう。そのためには同じ非言語コミュニケーション能力を持つ動物とかかわることは、この部分を補うことができると考 えられるので、重要とかんがえられる。

 4、岡田美智男(ATRメディア情報科学研究所主任研究員)
        (ロボットと子どもたちの関わりの可能性とその限界(案))
 人に関わるロボットということで、アイボや本田のロボットを紹介なさいました。また、人の心を和ませるという目的のロボットの開発について話されまし た。この場合の会話として、女子高校生の会話のような、非常に曖昧な内容を発信し、それを相手の反応で意味付けしていくような「不安定さを内包した会話を つくり」の試みをしていると、映像で目玉ロボットムーが、「ふーん」、「それなんなん?」など他愛ない反応を中年の男性にして、彼等が結構楽しんでいる様 子を見せて下さいました。そのロボットはかわいい声の関西弁で中年を翻弄していました。まさに女子高校生が電車などでかわしている会話を採用したもので す。

コーディネーター 鳩貝太郎
         (国立教育政策研究所教育課程センター総括研究官)
  学習指導要領には飼育体験を児童に得させるよう、推奨されているなど動物飼育体験は児童の発達にとって大きな意味がある。が、その対応については困難 な状況がみれている。平成14年5月に告示された動物愛護法の新基準に「学校などの教育施設では、獣医師などの専門家の指導の基で飼育を行うように努める ことと明記されたが、これからは新たな対応が必要になるだろう。

「討論の流れ」
 参加者は、75名とのことでしたが、主催の他:社)全国大学獣医学関係代表者協議会、全国連合小学校校長会 日本生活・総合的学習学会 社)日本獣医師 会 日本小動物獣医師会 日本獣医学会 などが後援をなさってましたので、各方面から重要な方が参加なさいました。中でも「家畜伝染病監視体制整備事業/ 学校現場型」を実施して学校に関わろうとしている家畜衛生の方が多くお集りだったと思います。
 事後の話し合いの中で、開業の獣医師4名と家畜衛生の獣医師1名、小学校の先生1名、教育センターの先生1名、教育学部関係の大御所が3名がご発言なさ いました。
 家畜衛生や教育センターのかたは、飼育舎の運用のあり方や、実際の対応、改善法などを具体的に質問なさいました。もう実際に関わっていることがわかりま す。開業の獣医師は、地方のかた(地元では自治体による獣医師会の対応が既に行われています)は、私たちが書いた「学校飼育動物のすべて」を示し、これを 使って教員を養成するよう提案をなさました。
 東京都の方は、「動物の福祉にかなうように飼わなければ飼育の意義はない」と「第9回人と動物の関係にかかわる国際会議・リオデジャネイロ」の動物介在 教育の宣言を引用なさり、根本の対応を迫りました。もう一人は「虐待なのだから、学校で動物をかわせるべきではない。好きな人だけにかわせるべきだ」と、 厳しく叫びました。これは東京では組織として獣医師への研修も教員への研修が殆どなされていないことをあらわしています。この叫んだかたは、平成5年から 同じことを発言し、この6月にもあるシンポジウムで日置教科調査官にも迫りましたが、今回山田教授の示した教育大系の学生のアンケートでも「学校の動物は 必要ない」と答えているのは4割で少数派です。また私たちの行っている教育系の学生への講義と実習のあとの調査では、動物嫌いの学生を含んでも98%が動 物は子供にとって必要だと答えています。このような社会的常識のある時に、獣医師は動物を子供達から切り離すのではなく、良い方向になるように支援する事 が担うべき使命と考えます。これを受けて大学の教育学の教授が「前回の人と動物の関係学会での報告によれば、日本人が動物を飼うのはゆとりのできた40代 である。これでは子供を育てるには遅いのだ!」と反論し、私たちがすすめている、現教員に対する研修/新人研修/教育系大学生に対する講義と実習/学校と 地域との関わり・専門家の起用/費用的対応 等をアッピールしてすすめるべきだといわれました。これが社会的な常識だと思います。

 引き続き、現場の筑波大学付属小の教諭が、「自分たちは虐待している怪物みたいにいわれるけど、実際は 知識がないし困難である。自分は獣医師や大勢の方の支援をうけて教室内でウサギを2匹かっているが、モルモットを飼っている森田先生の子供達も自分の子供 達も明らかに良い影響を受けている。コミュ二ケーション能力一つを見ても、動物と親しめる子は友達ともうまく交流できるようだ。ただ、それでも飼育舎での 動物には感覚がとおくなるようだ」といわれました。
 最後に、ある教育系大学のカリキュラムをつくる担当の先生が「教員養成時の教育に、この項目を入れることを早速検討する」といって下さり、会場はホット しました。また、他の大御所も「シンポジ゙ストのみなさん、意義ある討論を聞かせてもらいありがとう」といってくださいました。 
 獣医師側の主だった参加者は、日獣から担当理事の方や事務局など3名、また大学にかかわる獣医学教育研究連絡委員の方々が大勢お見えでした。開業の獣医 師も埼玉や新潟などから集まっているようでした。教育関係者と獣医学関係者と半々でした。それに愛護団体の関係者、マスコミ関係者などが見られました。

ページの先頭へ

平成14年10月17日(木)東北地区獣医師大会シンポジウム 

開催者:社)岩手県獣医師会
日時:平成14年10月17日(木)
テーマ:「獣医師の新しい社会的要請」   
基調講演・子どもは未来・心を育てよう
  講師;中川美穂子
       開業会員
日本小動物獣医師会 学校飼育動物対策委員会副委員長
  シンポジスト東北6県獣医師会から
   青森県:豊澤直子(家畜保健衛生所)
   宮城県:福地重雄(営農経済部家畜診療所所長)
   山形県:高橋浩吉
             (山形県農業共済組合連合会 家畜診療所 )

   秋田県:藤田 治(秋田県中央食肉衛生検査所 )
   岩手県:佐々木一弥
      (開業会員・いわて動物病院院長・
                都会っ子の自然体験推進活動)
   福島県:溝口俊夫
      (福島県鳥獣保護センター・
       財)ふくしまフォレス・エコ・ライフ
       参事兼環境管理課長)
   仙台市:茂木国夫(仙台獣医師会専務理事)
  コーディネーター
       内藤善久(岩手大学教授)
       横井耕一(岩手県獣医師会理事)

 夫々の獣医師が、人の生活を含めた動物界、環境問題について、思うところ、実践していることを述べました。獣 医師もその技術と知識を、狭い意味の診療と公衆衛生、食料確保だけではなくモット広い、人の未来、動物の未来、環境の未来を踏まえて社会に貢献し、提言し て行くべきだと話しあいまいした。
参加者は東北6県と仙台市の獣医師会の会長、福会長、常任理事にその他の獣医師会員など約400名だったと伺っています。それに日本獣医師会長がたがお見 えになり、今回の担当県である、岩手県獣医師会が前夜の夕食会に私も誘ってくださり、学校飼育動物対策のことをゆっくり報告できました。
 今、全国の55地方獣医師会の内、学校への関わりのために何もして居ないと言い切るのは、5県と@政令都市の獣医師会だけです、大きな潮流となりました が、教育会がその必要性を考えて信頼して下さるようになるまでには、もう少し時間が掛かるかも知れません。
 なお、東北の全県の獣医師会長と親しくお話しし、ご理解をいただけたことは大きな前進だと思います。来年は全国に行き渡ると思います。
ページの先頭へ


平成14年10月6日(日) 日本小動物獣医師会 02’年次大会(仙台)
市民公開講座「学校飼育動物講座」 
日時:平成14年10月6日(日)
会場:仙台国際センター
内容:
第一部 9:00から12:00
   座長:宮川保(日小獣 学校対策委員会)
    群馬県獣医師会が取り組む動物介在教育
            桑原保光 氏(社)群馬県獣医師会)
    学校飼育動物の必要性と支援体制
            中川美穂子 氏 (日小獣委員)
第二部13:00から17:00(各地獣医師会の実践)
 1、座長;山本精治(日小獣 学校対策委員会委員長)
    八戸市の取り組みについて  山内正孝 氏
            (社)青森県獣医師会・八戸市議員)
    栃木県の取り組みについて  矢部真人 氏
             (社)栃木県獣医師会)
    新潟県・市の取り組みについて 宮川 保 氏
             (社)新潟県獣医師会)  
 2、座長 矢部真人
      各地獣医師会の情報交換会(フリートーキング形式)
       コメンテーター:中川・桑原・山内・宮川各講師 
   内容:目的、活動内容、契約の内容、役所へのアプローチ
          ふれあいの方法、学校への対処法、など

午後の会議に学校の先生がお1人、学校の飼育について、動物たちが
可愛そうで懸命に世話をし、他の先生にも訴えると、他の先生がたから
変人扱いされると、涙ながらに訴えていらして、皆、沈み込みました。
幸い地域の獣医師会長が参加されており、そんなに酷いことになっている
のかと、認識なさり、その先生の話しを聞いてくださいました。対処を
考えてくださると約束なさってくださいました。
 東北地区はあまり進んでいませんが、これから期待できます。
また、集まった人数は60名と決して多くはありませんでしたが、東北地区の
県獣医師会の理事さんや会長先生がたがきてくださり、大きな力を終結で
きました。
 また、初めて参加して獣医師も、先進の獣医師会の考え方や、エネルギー
を受けとってくれたようです。良い会が持てたと思います。

ページの先頭へ

平成14年9月8日(日)東京都 東京大学弥生講堂

「実践・未来を拓く心の教育・地域と行う動物介在教育」
開催場所:東京大学 弥生講堂 一条ホール 
1、可愛がってこそ、子どもを育てる動物たち  中川美穂子
           日本小動物獣医師会学校飼育動物対策委員会 副委員長
2、学校教育と動物飼育 嶋野道弘文部科学省初等中等教育局 視学官
主催:日本小動物獣医師会
後援予定;東京都教育委員会   日本生物教育学会
      (社)東京都獣医師会  (財)日本動物愛護協会

 日小獣が関わった学校飼育動物の講習会は、平成10年以来、約80回になりますが、今回始めて私の地元 の東京で行いました。私のやり方がまずかったのか、今回は都獣医師会の組織的な支援が全くなかったため、何人がきてくださるか心配致しましたが、共感して くださる獣医師会員の方がたの支援を受けて行うことができました。

 来賓として上野動物園長、東京都教育庁指導部義務教育心身障害教育指導課 宮川課長の代理の方(都教育 庁の飼育動物に関する窓口)と 辻都獣会長がご挨拶くださいました。
 何より参加者が多かったことで、東京都獣医師会として文部科学省や対外的に対面が保てて良かったと、後日 都獣医師会会長先生と喜び合いました。

 参加者は
  獣医師会関係 90名 (スタッフを含む)
  教育関係者  40名 (校長、教諭、教育学部の教授)
  教育関係学生 20名
  その他    67名 (獣医師会に所属しない獣医師、企業獣医師、
              役所の獣医師、父母、団体役員、
              フリ―ライター、行政関係、その他一般市民)
  報道関係者   4名 (日本教育新聞社、少年写真新聞社、
              NHK教育テレビ ほか)
    合計220名でした。

 獣医師は、東京都獣医師会員が殆どでしたが、ほかに愛知県西三河開業獣医師協議会、青森市、郡山市、茨 城県、滋賀県、京都市、愛知県、千葉県、静岡県からも参加されました。
 学生さんは、聖徳大学教授や日本生物教育学会の玉川大学教授がお連れになった教育学部の方たちに、御茶ノ水女子大学大学院生、他に東大と、千葉大、早稲 田大学のかたなど、20名近くお見えでした。

 講演会の後行われた交流会には、嶋野視学官、鳩貝国立教育研究所・総括研究官、唐木東大教授のほか東京 都を中心とした獣医師会員、校長先生5人と教頭先生、教諭の方々の60人以上の方が残りました。 
 校長先生がたがお付き合い下さったおかげで、校長先生方などの教育方とのお考えを、獣医師サイドが知ることができたと思います。地方から来た県獣医師会 の理事さんも、大変参考になったと喜んでいらっしゃり、早速その県での講習会を予定しているようです。
 またその場で杉並区の小学校に区獣医師会がふれあい教室に伺うことが決まったようです。今回のことで、このような学校と獣医師会の信頼関係が拡がること を念じています。これからも 子ども達に良質な動物体験を用意し、人も動物の一部であることを理解させ、生きる物により深い愛情と興味を持たせることがで きるように、皆様とともに努力したいと思います。  

 なお視学官は質疑応答の場で、「子どものために動物を学校に置く、という原則から、飼育を工夫をする」 「飼育の環境を整える必要がある」と言う基本のお考えをお話になり、ありがたかったです。
 しかし、ご講演の中で、飼育する種類について、学校の事情により団子虫でも良いと、お話になりました。しかし 動物介在教育で人の心を養うためには、小 型哺乳類と愛玩鳥、馬など、人と心を通わすことができる動物が効果的です。昆虫など団子虫は、人の都合で対処する経験しか与えてくれないため、愛情飼育の 目的では使いません。いわゆるコンパニオンアニマルに入っていません。
子どもには、情を通わすことができる基本の飼育を行わせれば、その他の飼育経験も意義深いものになります。生物体験として昆虫は大事ですが、これだけでは 今までと同じです。つまり昆虫は、人がしてあげることに対して、喜こんでいることが人に伝わる動物ではないということです。そのため、動物虐待事例の対象 動物にも考えられていません。また団子虫は、幼稚園の段階での人気者です。動物体験も年齢により成長したほうが良いといえます。

 それで、学校が教育のために多少むりしても、より効果的な小型哺乳類などを飼う気持ちになるように、学 校を勇気付けしてくださるように、視学官にお願いいたしました。

 なお、会場からの質問に、学校は動物を飼う資格がない、というのがあり、視学官が「子どもの成長には動 物が重要であるので、必要だという原則から工夫をして欲しい」と答えました。また、教諭から「このような講習会にすべての教師を受けさせることが必要」と の問いかけに、都教育委員会の課長代理の方もお答えになってくださいましたが、文部省がやるべきだと思うけど、都内の区単位の獣医師会がやっているところ もあるし、また、大阪では私は5回話しているが最後にはすべての教育センターが参加した。東京は今回が最初なので、教師から講習会を教育委員会に要求して くれるようとにお願いしました。

ページの先頭へ

平成14年8月19日(月)山形県獣医師会

時間:午後1時から 場所:村山保健所 講堂
講師:中川美穂子(開業、東京)
演題:「飼育の意義とゆとりある飼育法」
 山形県獣医師会は、一昨年に動物介在活動を始め、昨年からは学校飼育動物対策にも積極的に県教育委員会に働きかけています。しかし、今まで有効な反応は なく、今回の講習会を県内の学校にご案内してほしいと申し入れましたが、対応はなく、その指示にしたがって獣医師会が40市町村行政の教育委員会に管内の 小学校に案内してくださるように依頼なさったそうです。それでも中には、各小学校に獣医師会から文書を出すようにと言われた地域もあったそうですが、何と か自治体に各小学校への案内をお願いした経緯があると伺いました。
ご努力の甲斐があり、27校から先生方が集まっていらっしゃいました。
 2時間の予定でしたが、熱心に聴いてくださったため、また会場が保健所で時間的制限がなかったため、思うところをほとんど話しましたら、質問を入れて3 時間になってしました。
 参加されていた小学校の先生がたは、時間が短く感じたといってくださり、質問タイムに口々に「どのようにお願いしたら獣医師が、生命尊重の教育を支援し に学校にきてくれるか」と言いましたので、小松事務局長が、「私に言ってください」とおっしゃってました。
 最後に保健所の方が、教師の反応が良かったと喜んでくださいました。
ページの先頭へ

平成14年8月4、5、6、7日(横浜パシフィコ

(教育ソリューション報告)
パシフィコ横浜で日本新聞社が開催した「教育ソリューションフェア2002」という教育者向けのイベントが開かれ、それに学校飼育動物に関する展示発表を してきましたのでご報告します。
 これは教育実践校の発表として、日本小動物獣医師会と群馬県獣医師会に共同出展依頼が来て、夫々応じたものです。このイベントは展示のほか、教育セミ ナーやシンポジウムが開かれ、5万人規模のイベントとのことです。初日は、遠山文部科学大臣がお見えになり、講演したようです 
     日時:平成14年8月5日・6日・7日 朝9時から」午後5時半(最終日は5時まで)
     会場:パシフィコ横浜 
  教育ソリューションフェアのテーマ:新学習指導要領への対応・教育サポート

   獣医師のブースのテーマ:「獣医師の支援で行われる命の教育・動物介在教育」
    展示内容:全長6,5メートル×2,4メートルのパネルに下記の展示

群馬県獣医師会
1、ふれあい授業の目的と内容・子供の写真多数と授業次第
2、ふれあいにかかわる授業が群馬大学教育課程の学生に与える影響・学生の作文
   日本小動物獣医師会
1、 動物の飼育意義・筑波大学付属小学校のモルモットの与える影響(絵日記の変化)
2、 大学教育の不備・ふれあい講義と実習前後の幼児教育学科の学生の作文
3、 獣医師会の対応と評価・全国飼育支援事業の要約と国立教育政策研究所報告からグラフ
4、 獣医師会の支援の必要性・獣医師の助けを求める子供の作文と、3年間獣医師会の支援への感謝の子供の手紙
(それぞれの学校からは展示の許可をいただいてます)
展示作業:8月4日午後
群馬県獣医師会からは委員3人が参加し、暑い中汗だくになって作業を行いました。

作業内容:5日から7日まで、展示ブースに訪れる教育関係者やほかの業者に説明しました。
 主だった訪問者
  日本学術会義会員・日本メディア教育センター長 坂元 昴様、
  山極前文部科学省主任視学官(理科教育)
  川崎市教育委員会指導員塚田庸子様、
  聖徳大学教授宮下英雄様(前全国小学校理科教育研究会会長・H11年年次大会東京のシンポジスト)
 
なお、M市教育委員会の方が熱心にごらんになり、始めようとしているとのことで予算
を相談されました。獣医師会に相談するようにお話しました。

訪問した教育関係者:
 何人いらしたかは不明ですが、3日間に渡りますので相当数が展示をごらんになり説明をしました。
 お会いした教育者は、秋田県、宮城、茨城、広島、大阪、福岡など、全国からこられていました。

  多くの教諭が「飼育はだめ」といって素通りしましたが、少しでも説明すると皆、困っているともらし、 獣医師がどうしたら来てくれるかと質問しました。獣医師が来てくれるなんて、考えてもみなかったと皆言いました。教育委員会に要望してみてくださるよう申 し上げました。
なお地元横浜から参加した教諭が一番多く、一応市と獣医師会が連携していることは知っているようでしたが、それでもいろいろ悩みを言って帰りました。市獣 は以前から努力なさって市と良い関係が結ばれていますが、周知の難しさが解ります。

中には、説明の中で「飼育委員は墓堀委員」と子供が嘆くとお話したとき「ははは、本当にそうよね」と笑い あっている集団もあり、私は、日常に慣れてしまっている教育者に驚き、後日、視学官にいっそうのご指導をお願いいたしました。
 また、教育系大学の「ふれあい講座と実習前後の作文の変化」については、どの学生も実習をうけた後は、「飼育が子供の教育に役に立つ」と熱心に記述して あるのを見て皆「記述分量も内容も後の変化が著しい」と語り、今の日本では教育者にたいする飼育体験のための教育がなされておらず、教育者が子供を動物飼 育に関して指導できない原因を認識なさいました。

 なお、どの方も、筑波大学付属小の子供たちの書いた絵日記の経時的変化に感動していました。私は子供た ちの書いた最初の絵を示し、現在学校が飼育をやめて動物園訪問で済ますことが増えているが、それは、この最初の絵の段階のままで、教育とは言えないのでは ないか、といいましたら、皆さんうなずいておられました。私どもは、教育者の方が少しでも飼育の意義と、獣医師の活動を理解して夫々の地元で考えてくれる と良いと思い、説明しました。
 
教育者以外の訪問者:
 他の展示ブースからの業者や、学校関係の出版社などがこられました。皆、学校を市場として業績を広げるために約40万円の展示料を支払っていますので、 「獣医師会の展示目的がわからない」と疑ってきましたが、教育のために発表をしていると理解したようです。それで「大事なことだ」と口々感想を漏らしまし た。中には「テーマは命の教育ではなく、心の教育にしたほうが、範囲が広くなる」とか、「このブースが一番いインパクトがある」などと言って、何度も立ち 寄る方もありました。また、感激して世の中まだ捨てたものではない、と、「署名運動をするなら署名します」と言った方もありました。
他ブースの展示内容
 業者のものは、主に英語教材、英語塾、OA機器などの会社の出店が多く、商談をしていました。また教育実践の発表校については、小学校での英語の授業の 実践が多く展示されていました。

ページの先頭へ

平成14年8月8日(木)徳島県教育女性連盟主催

徳島県教育女性連盟夏季研修会
 内容:「飼育の意義とゆとりある飼育方」
    講師:中川 美穂子
  幼稚園から高校までの女性の先生方の研究会です。
  韓国から日本にお嫁に来た韓国の人間国宝待遇の舞踊家の講演の後に話しをさせて頂きました。手持ちのプロジェクタ‐で無かったので子ども達の絵が映写 できずに残念でしたが、300人くらいの出席者の方にお話しできました。
平成14年8月9日(金)徳島県 徳島県小学校教育研究会生活科部 会主催
徳島県小学校教育研究会生活科部夏季研修会
1.午前会場  津乃峰小学校
    10時から10時半くらい   飼育舎指導      
    10時半から11時半    児童ふれあい授業
    徳島県獣医師会、愛媛県獣医師会協力
 

 地域の獣医師さんが熱心でした。また愛媛県からも 獣医師会員がかけつけてくださり、それぞれ子ども達について、触れ合いをさせてくださいました。
 暑い中、ウサギとチャボに30分間協力してもらい、子ども達と交流しました。中に、バスタオルの上からでも チャボのつめが痛いとべそをかいたおんなの 子がいましたが、何の傷も跡もついておらず、大丈夫 と、ピンと手でももを叩いたら「痛い」と騒いでいました。
が、その後自分から座り、またタオルをモモの上に置いてチャボを抱き寄せ、嬉しそうにしていました。この子達は、良い思いでができ、その後はこの動物達に 親しみが涌くだろうと、期待しています。地域の獣医師さんにおねがいしてきました。
2、午後会場:阿南市,はぐくみの家 
   内容:「生活科と総合・動物介在教育の実践」 
 午前に引き続き、先生方にお話ししました。この日は獣医師会員を含んで60人のかたが参加されました。 
 徳島県の獣医師会が同席しての講演でしたらから、先生方と獣医師会が話し合い、信頼をつくるのにとても良かったと思います。
 教育方は教育委員会も呼ぶべきだったと、残念がって いました。また、愛媛県の獣医師が、「獣医師は動物を連れて来てくださいと呼びかけ、無料診療しているけど、先生は却って病院にかけづらいと言って、動物 を連れて来てくれない」「先生方は教育委員会に予算をお願いしてもらいたい」と悩みを言いました。
 あとで、世話役の教頭先生が 教育委員会にも出席してもらうべきだったと残念かっていました。
 動物を大事にするためには、教師、校長、教育委員会が揃わなけれならないと、とのことでした。
 学校は予算を使う時、動物のことだと思い、最後に考えますが私は「あの動物達は、子どもが大事にしている彼等の子どもと言うべき者で、子どもの心だと 思って欲しい」と申し上げて、お金をかける順位を上げて欲しいと申し上げてきました。

ページの先頭へ

平成14年7月29日(月)武蔵野第3小学校

 (日小獣は関わっていません。地元です)
武蔵野市獣医師会の役員の方と一緒に  校内研修も兼ねて理科の研究会の先生に
 動物飼育のこどもへの意義と、飼育対策について 聞いたいただきました。武蔵野は西東京市の隣ですが、
西東京市では、もう11年も獣医師会と教育委員会で飼育支援システムを作っていたと知らなかったようです。
 「これからは、地域の専門化の支援は必要なことだ。西東京市はいいなー」との反応を皆様が口に出しておられました。
中に、「自分の家庭では、子どもが欲しがるのに動物を飼わなかったが やはり飼ってやらなくてはいけないなと、思った」
とおっしゃる先生もありました。
ページの先頭へ

平成14年7月18日(木)小田原市教育委員会主催

    後援・小田原市獣医師会
    小田原市教員研修会 午小田原市教員研修会 
 教育研修センターで行われました。
教育長さん以下、学校教育部長、学校教育次長、学校教育課長さんなど教育委員会から8名の方が参加され、課長さん方は最後まで話しを聞いて下さいました。
 教師の方は殆ど全校から27名、獣医師会員は地元15名の他、神奈川県内の相模原支部、足柄支部からもお見えになりました。
参加者数53名と、小田原獣医師会の担当者からご報告をいただきました。
 獣医師会と市との連携事業の最初の教員向け研修会でしたが、これまであまり積極的ではなかった会員が熱心に関わるようになり、良かったと報告がありまし た。
ページの先頭へ

平成14年7月9日、15日 武蔵野市 武蔵野女子大学

武蔵野女子大学 幼児教育学科の学生さんに講義と実習を しました。
   (日小獣は関わっていません。地元です)

 幼児教育科の1,2、3年生に講義を90分、日を改めて実習を90分しました。
 実習時、ウサギ、チャボ、モルモット、ハムスターを抱いてもらいました。
「チャボを抱いて」と差し出したら、キャー^!となだれを打って逃げた班もありました。
 講義前と、実習後に作文を出してもらいましたが、授業前の飼育に関する印象と思いでは殆どの場合非常に乏しい内容で、「臭かった」、「ウサギに草をアミ の外からいれてやった」位の記述でした。実習後の内容は「初めて飼育を考えた」「子どもにとって重要だ」「チャボを抱くのは怖かったけど、抱いたら可愛 かった」「抱いているとき動物の苦痛を少しでも減らそうと工夫している自分に気がついた。子ども達にとっても、思いやりを培う良い体験になると思う」「こ のような話しを聞いたのはじめてで、子ども達に接する時にも、自分の子どもを育てるときにも役に立つとおもった」など、たっぷり書いてありました。
 もともと成績に関係ない作文と話してありますので、これは学生さんの本音と思います。
 なかにお1人だけ、「動物は嫌いだから1匹も触らなかった」と言う学生さんもありましたが、本気で幼稚園の先生になろうとしてる方は、嫌いな動物でも抱 いたら抱けたのが嬉しいとかいてあり、自分も小さい時に教えた貰っていたらもっと体験が広がったろうと、書いてありました。
 これは、群馬大学の教育学部での「動物とのふれあい」に関わる授業を受けている学生さんも同じことを書きます。
 問題は、現在の先生方は、このような講義を受けないまま教師にならざるをえないと言うことです。

ページの先頭へ

平成14年6月29日(土) 東村山市立富士見小学校

   道徳地区公開授業後のパネルティスカッション「命の大切さ」

東村山教育委員会主催(北多摩支部了解)
 PTAと先生方に動物が子どもに与える影響と良い影響をえられる飼育法をお話ししました。
 このような活動は、連携している獣医師会で、しかも学校訪問をしている所では、頼まれる例が多くなっています。動物が子どもに良いとは云うけれど、具体 例を聞いて納得なさるようです。
ページの先頭へ

平成14年6月22日23日(土・日) 動物との共生を考える連絡 会第2回シンポジウム

         (日本小動物獣医師会は現在は関わっていません)

 HSUS教育担当副会長 ランダル・ロックウッド講演会
私は主に「動物虐待と人間社会の暴力の関係」 ついて聞いてきました。

 虐待を繰り返して連続殺人犯になる人達は、最初は5、6才の時に片鱗が見えるそうです。これは病気で す。でも、この時にケア‐をすれば近い将来の被害者をなくすことが出来るそうです。
 虐待されている動物を見たら、その家族内に被害者がいるかも知れない、或いは近くに異常者がいるかも知れないと考えて、アメリカでは獣医師が虐待された 動物を診たら警察に報告する義務があるところもあるそうです。
 イギリスで13才の子が幼児を殺して死刑になった例がありますが、欧米ではこのような動物虐待から連続殺人犯になる人は、死刑にしているようです。治る とは考えていません。
 もっとも、ここで云う動物とは、人と意志を交わすことの出来る動物であり、昆虫などへの虐待は意味が違います。また、子どもが知らないでいじめ、その後  動物を理解してやめるのは病的ではありません。
 このシンポジウム全体では、動物は触れ合う人の心を助けるけど、同時にその人の精神状態を表す力があると云うことと、とても興味深いお話しでした。

ページの先頭へ

平成14年6月24日(月)川崎市教育委員会主催
              川崎市獣医師会協力

「学校飼育動物講習会」
 理科を専攻としている小学校の先生がたの研究会でした。授業が終わってから遅くまで熱心に話しを聞いてくださいました。また社)川崎市獣医師会からも幹 部の方が同席してくださり、これまでより一層獣医師会と小学校の良い関係をつくろうと話し合っていらっしゃいました。
ページの先頭へ

平成14年6月8日(土)東京都 コンパニオンアニマル リサーチ主催

後援: 社団法人日本獣医師会/ 日本小動物獣医師会/
    全国学校飼育動物獣医師連絡協議会/ヒトと動物の関係学会

シンポジウム 「子供とペットとの大切な関係」
―動物・自然が及ぼす子どもの「心の発達」への影響―
協力: 麻布大学動物応用科学科、動物人間関係学教室

欧米でおこなわれてきた人と関係に関する調査研究、の結果を教えていただき、こどもへのペットの重要性 を
再確認致しました。
文科省から参加された教科調査官に、学校での飼育の現状を訴え、学校で飼育するなと詰め寄る獣医師もいらしゃいましたが、今、子ども達への影響をえさせた いとの考えとは一致できません,。もう少し我慢して、動物介在教育をこども達に得させるために、獣医師も先生も親も協力したいと思います。 勿論、国も、自治体も、ですが。

ページの先頭へ

平成14年5月31日(金)さいたま市教育員会主催

時間:3時から5時
場所:職員研修センター(旧大宮総合総合研修センター)
内容:1、(3時から)飼育担当者会
   2、(3時半から5時)
      講演「飼育の意義とゆとりある飼育法(動物介在教育の実践)」
      講師:中川 美穂子 
 対象:飼育担当教員
後援:さいたま市開業獣医師連絡協議会
獣医師会お問い合わせ先:048-663-1212(大澤)

さいたま市では、昨年6月に当時の大宮市の教職員向けにお話しています。
今回は、それをさいたま市全域の教職員向けに、大宮、与野、浦和地区の獣医師会・さいたま市開業獣医師連絡協議会のお世話で実現しました。
旧大宮市で行われていた飼育支援体制が、さいたま市全域にひろがることができ、ホットしています。これからの活動を期待しております。
講演後に、懇親会で、細かい事もお話できました。

なお、講習会への出席者は全員で116名。
内訳は 教員87名、教育委員会3名、獣医師26名との報告をいただいてます。

ページの先頭へ

 平成14年5月17日(金) 大阪府

主催:大阪府獣医師会三島支部
日時: 午後1時30分から3時30分
対象者:獣医師会員 25名

主催:高槻市教育センター
日時: 午後3時45分から5時15分
対象者:高槻市立小・中・養護学校教職員
57名(幼稚園・保育園関係者24名、小学校教員22名、中学校教員2名 
センター職員3名、獣医師6名です。

 この2回の講習会は昨年度、大阪府で日置教科調査官の協力で行われた講習会に参加された高槻市教育セン ターの先生と高槻市の東田先生の話し合いから実現しました。当日は教育センターの加藤先生のお世話になり、獣医師向けと教員向けが続けて行われました。
講演後、高槻市で活動している獣医師の方々と懇親をさせていただきました。

講習会後、早速、飼育相談のファックスや飼育委員会との交流の話が学校からきたそうです。
当日、教育委員会がアンケートをとっていました。
獣医師会は、「スタッフも地元の先生方も、実際に話を聞いて良くわかりました。教育委員会の方々もよく理解して協力してくださるのでありがたいです。わず か半年でこんなに進んだことがとてもうれしいです。」と、報告してくださいました。

ページの先頭へ

平成14年4月28日(日)山梨県獣医師会主催

日時:平成14年4月28日(日)午後1時から5時
会場:リバース和戸(甲府勤労者総合福祉センター)
   甲府市和戸町桜井畑1303 055(228)7022
内容:学校飼育動物への獣医師のかかわり
講師:中川美穂子 日本小動物獣医師会学校飼育動物対策委員会 副委員長
   問い合わせ先:山梨県獣医師会小動物臨床部会・ 0553(22)4730(古屋)

 山梨県獣医師会では、以前から個人的に学校に関わっている獣医師が何人かいらっしゃいました。昨年度末 に学校飼育動物対策委員会が設けられ、対策委員の希望を募って今回の勉強会になりました。
 県獣医師会執行部の方、県衛生薬務課、県動物愛護指導センター、保健所などの方々を含めて開業獣医師と総勢35名のご参加がありました。中に、東京でな かなか行われないためと、東京から見えた獣医師会員がいらっしゃいました。

 皆様熱心で、これから学校との信頼を大きくして、子ども達の爲に活動しする体制を作りたいとのお考えで した。
資料を置いてきました。その後、獣医師会内部の最初の資料作りをしているとお知らせをいただきました。

ページの先頭へ

平成14年2月19日長崎県獣医師会主催
            後援:長崎県教育委員会

ー可愛がってこそ子どもを育てる動物たちー
「子どもと学校飼育動物講習会」
 
内容:「学校飼育動物の役割とゆとりある飼育法」
講師:中川美穂子
    日本小動物獣医師会学校飼育動物対策委員会 副委員長
    全国学校飼育動物獣医師連絡協議会 主宰

 九州では、北九州市と福岡県獣医師会が今までに中川と群馬県の桑原先生の話しを聞いてくれてます。
 特に福岡市と福岡県では既に獣医師を活用した教育施設での動物介在教育への試みが行われています。

 今回の講習会は、昨年秋に大分県がおこなった学校飼育動物のシンポジウムで、山崎恵子さん、モルモット の教室内飼育の筑波大学付属小の森田先生と一緒にお話ししたのを、大分県獣医師会長が長崎県獣医師会長にお話しくださった
結果実現しました。

 今回初めて長崎に伺い、熱心に活動されている佐世保市の開業獣医師と島原市の衛生課の市職員と知り合え ました。
 県の獣医師会はこの方達を大事にして、なんとか学校での飼育を子ども達の教育に役立てる活動を活発化したいと考えて居られました。
 当日は学校の先生方もおあつまりで、熱心に質問をして下さいました。少しでも、お役に立てることができれば幸いです。焦らずに活動されるようにお話して きました。

 なお、当日現地の長崎国際テレビが、夕方のニュースに「学校の動物を子どもの愛情教育に役に立つ飼育法 を勉強するため、県獣医師会と教育委員会が学校飼育動物の講習会を開催した」と報道しました。

ページの先頭へ

 平成14年2月15日(金)千葉市 (社)千葉県獣医 師会主催

平成13年度 市民フォーラム開催
 (メインテーマ:人と動物の絆)
学校飼育動物に関する講演会
テーマ「心を育み素直に育つ子ども達」
目的:平成14年度の予定されている小学校の新学習指導要領の中で、学校飼育動物管理取り扱いが改定される事から千葉県獣医師会として学校関係者にその趣 旨の啓発を計る。

日時:平成14年2月15日(金)午後1児から5時まで
場所:千葉市中央区富士見町1ー3ー2 パルルプラザCHIBA
参加者:小学校関係者
内容:
   挨拶
     千葉県獣医師会長 桑島 功 氏
     千葉県知事    堂本 暁子 氏
     千葉県教育長
     千葉県議会銀   宮 寛氏

   講演 13時15分から16時35分
     文部科学省初等中等教局視学官  宮川 八岐先生
      『新学習指導要領と学校飼育動物(命の大切さ)』

      全国学校飼育動物獣医師連絡協議会 主宰 中川美穂子先生
       「可愛がってこそ子どもを育てる動物たち」
      
      千葉県獣医師会・社会福祉委員長     山本 精治先生

 この日は、県教育委員会、千葉市教育委員会、教師の方々など150名を超える教育関係者の方々がお見え でしたので、その方たちに視学官は1時間20分の間、熱心にお話になりました。
 この中で視学官は、
 最近の青少年の行動特性は
「忍耐力がない、自己中心的、感情をコントロールできない。そしていきなり激情型が増えている(被害者に対する贖罪意識が低いつまり、命が分からない)。 また、根本的な問題として「人間関係が結べない。」と話されました。
 
 また、「このような問題の大方のことは飼育を丁寧に行えば解決の糸口となるだろう」、「最近は社会の目もあるのだし、殺すような飼育はしないように」、 「各地で獣医師会と自治体との連携が報告されている」「これらの連携事業について予算的には、まだ行政がすべて持つとは行かないで、獣医師会に負担しても らっている実例もあるようだが、」など、すでに獣医師会との連携がある千葉市での講習会でしたので、今までより踏み込んだ話をされました。
さらに、視学官は
「飼育の教科への位置付けなど中心に、生命尊重教育の全体計画を立て、全教師で取り組む必要がある。高度情報化の時代で教師がオールマイティーとはいえな くなっている。これからは学校の体制が社会から問われる時代になったので、他のことでも地域との連携は大事であるが、特に飼育に関しては獣医師など地域の 専門家と連携して行うことが良い。生活科の解説書にもそのように明記してある。そのために行政も予算化に向けて工夫を。」
 など、お話になりました。

 視学官はお忙しい方ですので、「今日の中川等の専門家の話を聞いて、飼育のあり方を勉強してください」 「質問は中川に」と教職関係者に言い残して、このお話のあとすぐにお帰りになりました。特にこの日は他の都合を後回しにして来てくださったと、山本委員長 に伺っています。 
          
 この日の視学官のお話からは、だんだんに、現体制の文部科学省、初等中等教育局の中では、「学校に関与する獣医師の重要性が認められている」ということ が感じられました。
 
 なお、この日の参加者は、堂本千葉県知事、清水千葉県教育長、宮県議会議員、市議会議員を始め、報道陣と教職関係者、そして桑島千葉県獣医師会長を始め 獣医師会員など、主催者側を含めて約250名と発表されています。

 講演後、各小学校の飼育担当者から
「子どもへの影響が良く分かった。」としたうえで、「オーム病について」「ウサギのオスメスの判断」「ウサギの死因について」など質問がありました。雌雄 鑑別は幼獣では難しく、獣医師でも迷うときがあるとお話したら、後に「やはり獣医さんをお願いする必要があるのだと分かった」と私のHPに記入がありまし た。
 学校の先生方には、獣医師も先生方もすぐには改善できない事情が学校には見られるので、いっしょに悩む相談相手と考えて欲しい、とお話しました。

 また、すでに獣医師による講習会や学校訪問のある柏市の教育委員の方から「柏市内ので学校訪問は効果的 が現れている。本日の話の中でモルモットの教室内飼飼例を見せてもらったが、中学での飼育が生徒の生活指導に良い実例はないか?」
と質問がありました。蕨市でも小鳥の飼育によって、中学生が休まずに登校するようになり、その籠があると担任と普通に話せるようになった、とか、徳島で の、とても荒れていた高校生が、先生が連れてくる愛犬にブラシをかけている内に家庭のつらいことなどを話すようになった、などの事例をお知らせしました。

 最後に実際に活動している獣医師から学校関係者に向けて
「学校の飼育舎の動物に名前を付け、その絵や写真を飼育舎に貼り付けて、皆で個体認識をして欲しい」と話がありました。これは、群馬を始めどこの獣医師会 も望んでいることです。全校児童が、「どのウサギが病気か」が分かることと、名前を呼ぶことで親しみがわきます。名前の無い愛玩用の動物はいませんから、 子供達と親しくするために大事なことです。

 この日は、私の持ち時間は1時間半でしたので、いつものビデオは映写しませんでしたが、山本委員長が話 したいだけ話して良い、といってくださり感謝!

ページの先頭へ

平成14年2月3日(日)滋賀県獣医師会主催

主催:滋賀県獣医師会
場所:滋賀県近江八幡市鷹飼町80‐4      
内容:学校飼育動物への獣医師の関わり
講師;中川美穂子
    (日本小動物獣医師会学校飼育動物対策委員会 副委員長)  
獣医師会員への講習会(2月3日)中川美穂子講師
 学校飼育動物への獣医師のかかわり(約4時間)

 滋賀県では、平成14年度の学習指導要領完全実施にむけて、学校飼育動物対策検討委員会を設け、その活 動の一環として獣医師向けの講習会をしました。その結果を送ってくださいました。また滋賀県の情報について、掲示板にいれておきます。

講習会報告
 聴講者39名(開業者29名・家畜衛生関係者2名・公衆衛生関係者2名 所属なしの会員4名・会員以外2名)

聴講後のアンケート(回収26通)結果
学校飼育動物事業について よく理解できた(25通)
この事業は獣医師会として是非係わることが必要だ(24通)
この事業に参加協力してみようと思う(22通)
その他の感想・意見については色々と記入があり、担当者は今後の参考にする

------------------------------------------------
講習会のあと、
参加された会員とのメールでのやり取りをお知らせします。(中川)
 
(中川へ)
 滋賀県獣医師会の学校飼育動物サポート事業は、これからです。今2・3のモデル校にご協力頂きながら会員の意気高揚に努めている.....と 言ったところでしょうか。
  開業獣医師は、動物そのものより飼主とのやり取りの方に気を使います。
私も含めて獣医師はこの事業で対峙する教育関係者に対して、困難さを感じていま
す。  それで、対策委員長も、「そう言う先入観・偏見が、少しでも払拭されれ
ば.....」、と講習会を準備し、そして、先生の講演を、「頭を空っぽにして聴いてほしい ! 」と、会員に言ってました。

  今回、実際の話、学校の事情などを含めてさまざまな事例を聴かして頂けたことはひじょうに収穫があったと考えております。

  ほんとうに有り難うございました。
今後とも宜しく御指導戴きますよう、お願いいたします。

(中川から滋賀へ)
 こちらこそ有難うございました。通常私達開業獣医師は家庭で飼われて愛されている動物を診療していますが、学校の動物は「自分の動物と思われているので はない」ということです。先生がたは病院につれてくるとき「善意と情熱」でつれてきます。だから普通の飼い主とは違って見えるのです。

 しかし、覚えておいて欲しいのは、
「学校の先生方は、まじめです、そして子どもが好きです」
そこが教師と獣医師が共通の言葉を見つける鍵です、

 私達が動物の味方を何よりも先にすると、言葉が途絶えます。先生方は「動物をちゃんと飼え」と、獣医師 が圧力をかけていると思うのです、

 私達は、「こうした方が、子どもの教育に役に立つと思いますよ」と、助言します。その助言が実践可能か どうかは学校の事情もありますので、いっしょに悩むことが大事だと思います。
 彼らが私達を、「圧力をかけるのではなく、子どものことを考えている。助けてくれる」と理解したら、信頼関係が出来ます。その後は、誤解なく言葉が通じ るでしょう。
 彼らは今、飼育という習っていないことに、苦労しているのです。学校に寄り添い、子どものために先生を助けることが必要です、対立しては何も産みませ ん。

 この考えがあるから、文部科学省は私達を頼りにしています。

 新しく学校飼育動物対策を始めるところでは、何よりも信頼関係を作ることが大事です。すくなくとも2年 くらいはかかるとおもいます。
 心をやわらかくして、先生がたを理解してあげてください。少しでも改善したら、子どもと動物のために感謝し、励ましてください。

ページの先頭へ

平成14年1月24日(木)高知県

問い合わせ先:088‐863‐0039(佐野)
主催:日本小動物獣医師会 共催:社)高知県獣医師会
時間:午後2時から7時
場所:山内会館(県庁前駅下車徒歩5分、電話088-822-3391)
内容:今、心の教育に求められているもの
  1、生きる力を育む動物たち
         日置光久 文部科学省初等中等教育局教科調査官
  2、学校飼育動物の意義と学校への獣医師のかかわり
         -可愛がってこそ子どもを育てる動物たちー
         中川美穂子
    日本小動物獣医師会学校飼育動物対策委員会 副委員長
支援・協力:高知県小動物獣医師会 高知県教育委員会
       高知市教育委員会 高知市ロータリークラブ

 日置教科調査官とは昨年暮れからのお付き合いですが、お忙しいにも関わらず快くご一緒して熱心に講演し てくださいました。また事前に日置教科調査官に対し、高知県と高知市の教育委員会からご挨拶の電話があったとのことで当日は教育委員会から大勢の方がお見 えのようでした。

 講演会の後、親睦会には高知市教育委員会から宮 英司学校教育課長他何人かが参加され、獣医師会に日ご ろの協力のお礼をいっておられました。高知市では来年から獣医師会とロータリークラブの援助により、2校のモデル校でふれあいなど獣医師が関わることに なっているそうです。教育委員会の予算はつかなそうで、それを盛んに「感謝している」と教育委員会は言っておられました。
 なお、ご好意により次の日に教育委員会の方が、桂浜経由で空港までおくってくださり、いっそうの情報交換をさせていただきました。

また、後日、県教育センターから「地域との融合」という点から、獣医師会と教育委員会との連携を作ること をプログラミングするので、高知の担当者を教えてくれとの問い合わせがあり、喜んで高知県の日本小動物獣医師会担当をお教しました。
 これで、高知県も大丈夫です。

ページの先頭へ