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レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで      


2008年 アメリカ・イギリス ロマンス   

<監督>サム・メンデス
<キャスト>レオナルド・ディカプリオ , ケイト・ウィンスレット , キャシー・ベイツ , マイケル・シャノン

<ストーリー>
1950年代、アメリカ。レボリューショナリー・ロードと呼ばれる新興住宅街に暮らすフランク(レオナルド・ディカプリオ)とエイプリル(ケイト・ウィンスレット)は、人もうらやむ理想的な家族と周囲に思われていた。しかし、実は、夫婦には、それぞれの葛藤があり、その停滞感を打破するため、二人は、今までの生活から脱却し、パリで新生活を築こうという計画を持っていた・・・。

<感想>
「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス監督が、妻であるケイト・ウィンスレットを主役に据えて、夫婦の理想と現実を鋭く描いています。一応レオの方がケイトよりも名前が先に出てきますが、実際の主役は、ケイトで、そんな彼女を監督は撮りたかったのだと思います。いや、もしかすると、主役のレオがケイトに食われれちゃったのかしら・・・(^^;。

宣伝文句が、「「タイタニック」以来の再共演・・・」とかなので、ロマンチックな映画を想像して、カップルで見に行くと、あとで、気まずい思いをするかもしれません。
若いカップルが見る映画というよりも、結婚してしばらくたった人が、ひとり静かに見にいくのがベストな映画ですね。
どのシーンにも緊張感が漂っていて、飽きずに見れるのですが、とても疲れる映画でした。見終わっても、しばらく映画の余韻に浸りつつ、いろいろなことを考えてしまいました。

私は女性なので、ケイトの苛立ちは、よく分かりました。
女性が、結婚して子供を産み、社会から隔絶されて家庭の中にいるとき、こういう焦燥感は常に身近にあるものでしょう。これが、理想の生活なの?こんな生活を続ける意味があるの??と・・・。
同じような葛藤は、もちろん男性も持っているのだとは思います。家族のために、仕方なく働いているのだと・・・。
そこで、この映画では、女性は理想を追い求め、男性は、現実を生きようとする。実際には、何の計画性もない、現実逃避のプランの上に成り立つ一時の高揚感が、二人にうわべだけの希望を与えるのですが・・・。

この映画を見ると、男性は女性の怖さを改めて強く感じるのではないでしょうか。
自分の心の内を極限まで隠して、笑っていられる妻・・・。
夫は、直前まで荒れ狂っていた自分の妻の突然の変化について行くことが出来ず、あれは、夢だったのか?と思ってしまうことでしょう。そして、ヤレヤレ・・・と思いながら、また日常に戻ろうとするのです
そして、悲惨な結果だけを見せられて、うろたえて・・・。
レオ演じるフランクが、哀れでしたねぇ。

彼のようにならないための処世法は、ラストのラストに出てくるあのシーンなのでしょうか。
それはそれで、また、むむむ!(怒)と思ってしまうのですが、でも、全てを理解し合うなんて事は、所詮無理だと諦めることも必要なのかもしれませんねぇ。

エイプリルを演じたケイト・ウィンスレットの怒り、疲れ、諦めなどの表現が見事で、彼女から目が離せませんでした。もちろん、レオナルド・ディカプリオも熱演でしたが、少々押され気味だったかも。やはりこれは、女性の映画ですよね。
精神を病んだ男性を演じたマイケル・シャノンは、アカデミー助演男優賞にノミネートされました。彼だけが真実を見て、現実を語っていました。(2009.01.24)



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