獣医師広報板ニュース

動物看護師掲示板過去発言No.7000-200201-59

悩める獣医師。
投稿日 2002年1月30日(水)22時54分 さくら

関東地方で開業している獣医師です。野良猫に関わる問題、他人事とは思えずに筆をとりました。

 うちの病院は、今年の春で開業10年目を迎えますが、この間病院付近に捨てられた仔猫の数はなんと300を越えました。1年に30の計算になります。みなさんが書いておられたとおり、「病院なら何とかしてくれるだろう」という思いなのでしょうが、こちらの苦労は並大抵じゃありませんよね。とりあえずは、健康チェックして、育てながらの里親捜し。。。

 離乳までは責任を持って育てる。初回のワクチンは無料で接種。将来の不妊手術も無料。希望があれば抜爪手術もサービス。これが、当院のマニュアルになっています。それでも、数が数だけにすべて里親が見つかるわけではありません。院で引き取った猫が現在18匹。もう限界。

 数年前には、いっぺんに17匹の捨て猫がありました。同じ日に、17匹ですよ。この時は、地方のイベント会場に特設ブースを借りうけて、見知らぬ人達に「かわいい猫ですよ〜。育ててくれませんか〜。」と、のどが枯れるまで声を掛けたりしました。

 この先どうなってしまうのか、とても不安です。里親を探して、見つからなかったら病院で飼う。このサイクルに限界が来ている今、私はどうすべきなのでしょう。当院のAHT(5人)も、声をそろえて「安楽死、絶対反対。」です。青臭い考えかもしれませんが、獣医師としての私も、予後不良ならいざ知らず、健康な猫達の命を自らの手で摘み取る事には大きな抵抗があります。とはいえ、ではどうする?ここで、堂々巡りになってしまうのですよね。

 困り果てた私は、「不妊手術を施して、野に放つ」ということを考えました。野良猫の生活がどんなものかは別にして、ひとたび生を受けた彼らには生きる権利がある、といってもいいのではないか?どうなのでしょうね。獣医師が自ら「野良猫」を増やすということ。不妊手術はするつもりですから、1代限りではありますが、1匹増える事に変わりはありません。

 猫嫌い、と特別に限定しなくても、野良猫により迷惑をこうむっている人が数多くいる事は、やはり事実でしょう。その人達に対して、何の配慮もしない、ということでは人の社会は成り立ちません。「命」の重さ、大切さ、それと、人間社会のルール。天秤にかける事じゃないのでしょうね。

 投稿の目的は、実はこのことです。みなさん、私の案、「野に放つ」ということに対して、どんな感想をお持ちでしょうか?許される事なのでしょうか?本来自分一人で決めるべき事とは思いますが、あまりに常識はずれかと不安なのです。みなさんにとても評判が悪い、最後まで面倒をみない似非飼主達。その人達の行為(偽善)と、私が考えた行為、そんなに変わらないのかもしれない。ようするに、「自己満足」。

 私の選択肢の中に「安楽死」の項目を増やすべきなのかな、とも思っています。でも、できる限りのことはしてあげたい。そして、今までの常識の範囲でなら、もうできることがなくなってきているのです。これから春を迎えますが、また「捨て猫」のシーズンかと思うと気が重くなります。びっくりするような解決策はないものでしょうかねー。

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2022 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。